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第八十二話 「男子校の閉鎖環境は、独占欲を狂気に変える」という話

サービスカット的な。すいません、これが僕の考える精一杯です(何が?)

中庭。


昼下がりの柔らかな光の中で、拓海は窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめていた。

シャツのボタンを三つ外し、ネクタイを緩め、ポケットに手を突っ込む。


「……よし」


小さく頷く。


「……これで、ワルだな」


どこか致命的にズレている。

気だるげな仕草を意識しながらベンチに腰を下ろした、その瞬間だった。

空気が、わずかに揺れる。


「……おい、見ろよ」


「……サエキ、脱いでる」


ひそひそとした声が、確実に広がっていく。


「なんて野性味だ……」


「ハミルトン卿が囲い込む理由、分かったわ……」


「……ちょっと拝んでくる」


「来るな」


しかし、止まらない。

ラグビー部の先輩、眼鏡の優等生、なぜか全員が無言で距離を詰めてくる。


視線はただ一点―三つ目のボタンの奥。


「……おい!!」


拓海は思わず立ち上がった。


「拝むな!! 暑苦しいんだよ!!」


だがその叫びは、全く別の意味で受け取られる。


「……ああ、神の咆哮だ……」


「なんて荒々しい慈悲なんだ……」


「違う!!」


伝わらない。


むしろ、距離はさらに縮まる。

完全に包囲された、その時。


「……どけ」


空気の温度が、一段階下がった。


「……その汚い視線を、私の予約済み資産に向けるな」


エドワード・ハミルトンが、静かに割って入る。


周囲の生徒たちが一歩下がる中、彼はまっすぐ拓海の元へ歩み寄った。


「……網膜に焼き付けたデータを、今すぐ脳内からデリートしろ」


無理だろ、と誰もが思った。


だがエドワードは気にしない。


震える手で自分のジャケットを脱ぎ、そのまま拓海の首元に押し付ける。


「……おい、待て」


「……拓海」


ボタンが、一つずつ留められていく。


「苦しい!!」


「……お前は、バカなのか」


止まらない。


「男子校という、飢えた獣の巣窟で、その防備を解くなど…自殺行為だ」


「だからやめろ!!」


「……合理的ではない」


「俺は今、不良になってんだよ!!」


その言葉に、エドワードは一瞬だけ動きを止めた。


「……不良?」


そして、即座に否定する。


「……違う。それは“公共の福祉への過剰なサービス”だ」


「誰にだよ!!」


「ジョージ」


振り返る。


「……今すぐ学園のネット回線を遮断しろ」


「無理だね」


ジョージはすでにスマホを構えていた。


「もう手遅れ。今の“着崩しサエキ”、共有フォルダにアップ済み」


カシャ、と音が鳴る。


「タイトルは“伝説の聖人(ワイルドVer.)”」


「やめろォ!!」


「僕の観測用にもバックアップ取っといたよ」


さらにシャッター音。


エドの視線が鋭くなる。


「……ジョージ。死刑だ」


「はいはい」


「……その端末を酸のプールに沈めろ」


「環境破壊は良くないね」


そのやり取りを、周囲は別の意味で受け取っていた。


「……見たか今の」


「神が拘束されている……」


「信仰の形が進化している……」


「違う!!」


二度目も、伝わらなかった。


ジョージの記録:


【サエキ事変・男子校の狂気編】


サエキ拓海、自らの“ワル”演出により学園の信仰心をさらに刺激。

結果、「神格」から「野生神」へと進化を確認。


ハミルトン様、全校生徒を潜在的競合と認識し、現在学園全体を覆う遮断結界の見積もりを開始。


(追記)

サエキ様、ボタンを外すたびに新規宗派が発生。

(……極めて危険)


「拓海」


エドワードは真剣な表情で言った。


「……もう二度と、ボタンを外すな」


一拍。


「……お前の肌を見てもいいのは、私と――」


さらに間を置く。


「……お前の父親だけだ」


「親父と同列に語るな!! 変態!!」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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