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第六十話 「不純物(サトウ)との遭遇は、垂直方向の”バグ”だ」という話

「」→日本語

『』→英語 

→すみませんが脳内変換してください!

…めんどくさいからやめときゃ良かった説

七月上旬。神社の長い石段。

湿り気を帯びた熱気の中。


エドワードは、拓海の太い腕を―

白く細い指先で、ぎゅっと掴んで登っていた。


『……タクミ。確認だ』


額の汗を拭いながら、見上げる。


『……お前の高度(標高)』


一拍。


『……なぜ、15歳の私をここまで引き離す』


『……日本の牛乳には、禁断の成長因子が混入しているのか』


『……入ってねぇよ』


即答。


『……お前がまだガキなだけだろ』


「……ガキ……」


わずかに、頬が赤くなる。


『……私を……未成熟と断定したか』


その肩が、小さく震える。


「――お、拓海! おかえり!」


石段の上から、声。

Tシャツにタオルの少年が駆け下りてくる。


佐藤だ。


「お!佐藤!相変わらず元気そうだな!」


彼は迷いなく距離を詰め―

そのまま、拓海の肩に手を伸ばした。


「……ッ!?」


その瞬間、空気が、凍る。


エドワードの瞳が。

獲物を射抜く毒針のように、冷え切った。


「……サトウ?」


低い声。


『……その不潔な末端(手)を』


一拍。


『……私の「所有物サエキ」から離せ』


『え、エド……?』


佐藤が、きょとんとする。


「誰これ、モデル? ……って、ちっさ!」


一拍。


「可愛いな、おい!」


―ポン。


金髪の頭に、無遠慮な手。


「「「…………!!」」」


世界が、止まる。


後ろで、ジョージのペンが震える。


『……不純物サトウ、……ハミルトン様の王冠に接触』


『……生存確率、……0%にアップデート完了』


「……サトウ」


声が落ちる。


地を這うように。


「……平均的日本人ガ」


「……ワタシ、サワルノハ」


一拍。


「……万死ニ値スル」


「……うわ、口悪っ!!」


佐藤がケラケラと笑う。

まったく動じない。


「拓海、こいつマジで姫だな!!」


一拍。


「しかも中3!? 2つも下かよ!」


『……サトウ』


エドワードが、スッと動く。


拓海の背後へ。

完全に隠れて、指だけ出す。


『……お前は』


『タクミの視界に入る必要のない』


一拍。


『地表のノイズだ』


『消去対象だ』


「……隠れてゴソゴソ言ってんじゃねぇよ!!」


「卑怯な姫か!!」


「……まぁまぁ、二人とも!」


菜摘が割って入る。


空気が、一瞬で緩む。


「……たっくんはね」


にこっと笑う。


「……小さい生き物には、構造的に優しいんだから!」


「……エドワード君、大丈夫だよ!」


「……捨て猫とか見つけると、黙って傘さしてあげたりするし!」


「……ステネコ」


エドワードの目が、変わる。


『……なるほど』


『……私は』


一拍。


『……ハミルトンの主でありつつ』


『タクミにとっての”捨てられた英国猫”として』


『……再定義される必要がある』


『……いや、ねぇよ!!』


エドワードが、拓海の腕を抱きしめる。


細い腕で。

だが、異様に強い。


『……タクミ、今夜のナツ・マツリ』


『……私は』


一拍。


『最も華奢で脆い守護対象として』


『……お前の隣に配置される』


『合理的判断だ』


『……だから拘束すんな!!』


『……重いんだよ!!(執着が!!)』


ジョージのペンが走る。


【サエキ事変・日本遠征七日目】


ハミルトン様、……『2歳下の姫』という属性を戦略的に採用。


英語によるサエキとの完全同期を維持しつつ、

日本語では周囲に誤解ログを拡散。

サトウの脳内に不可逆な誤認を形成。


寄生アップデート、順調。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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