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ハミルトン伯爵が幸せになるまで:39

口内炎ができてバリ痛い(´;ω;`)

招待インビテーションとは、狂犬お嬢様(拓海)から「俺もエドが好きだぜ^^」という言葉を勝ち取った西欧の魔王エドワードが、その意味を深く考えることを放棄して告白成功と判定し、五月の婚約発表へ向けて最大の障壁(父・和也)を自ら英国へ招待してしまう現象のことであるという話』


【別邸の庭】

~結果オーライ~


「俺もエドが好きだぜ^^」


「…………」


エドワードは固まった。


目の前では、拓海が両手にスコーンを持ち、幸せそうに頬張っている。


「これ、うめぇな!^^」


「…………」


激しく

ものすごく激しく

何かが違う気はする。


自分の、


『あなたを一人の女性として愛しています』


という意味での「好き」と。


拓海の、


『飯を奢ってくれる、気の合うスケベ外人として好き』


という「好き」。


おそらく………

いや

ほぼ確実に、一致していない。


「エド? 食わねぇなら、これ全部もらうぞ?」


「……どうぞ。」


「やった^^」


拓海は嬉々として三個目のスコーンを確保する。


「…………」


だが。


「好き」とは言われた。


間違いなく、本人の口から


『俺もエドが好きだぜ^^』


と。


エドワードは考えた。


考えて。

考えて。

そして。

都合の悪い部分を、すべて脳内から削除した。


(……結果オーライだ。)


違う。


だが

西欧の魔王は、そういうことにした。



【書斎】

~次の一手~


その夜

エドワードは、早くも次の段階へ進んでいた。


デスクの上には、一枚の予定表。


**************

五月二十三日。

ハミルトン家、ガーデンパーティ。

**************


拓海嬢から「好き」と言われた。


つまり

告白、成功。


たぶん。


ならば、

次だ。


「……婚約。」


ぽつり。

エドワードは呟いた。


五月末。

数年ぶりに開催される、ハミルトン家の一大行事。


そこで

自分の隣に、美しいドレスを纏った拓海を立たせる。


そして堂々と。


『私の婚約者、佐伯拓海嬢です』


そう紹介する。


「…………」


(*´ω`)/////


想像しただけで、口元が蕩けた。


しかし

婚約となれば、当然ながら自分と拓海だけの問題ではない。


「……そうだ。」


母・絢子には、すでに正式な交際の意思を伝えている。

姉・詩織にも、自分が拓海を大切に思っていることは伝わっている。


だが。


婚約となれば

改めて佐伯家へ、正式に申し入れるべきだろう。


そして――。


「…………」


エドワードは気づいた。


「……お父上。」


そう。


拓海には父親がいる。


これまで

なぜか一度も話したことのない、拓海の父親。


「…………」


婚約を申し入れる以上、

当然、きちんと挨拶をするべきだ。


そして。


できることなら

五月のガーデンパーティには、ご両親にも出席していただきたい。


「……そうか。」


灰色の瞳が輝いた。


「ご両親を、英国へお招きすればいい。」


完璧だ。


ガーデンパーティへの正式な招待状を送り、できれば数日前から英国へ滞在していただく。


その間に

直接、自分の気持ちを伝える。


拓海をどれほど大切に思っているのか。

これから先も大切にすると誓い、

そのうえで

正式に婚約の了承をいただく。


これ以上ないほど。


誠実で。

正攻法で。

完璧な手順ではないか。


「……よし。」


エドワードは満足げに頷くと、正式な招待状を用意するため、便箋を取り出した。



【同時刻・千代田区】

~父~


その頃

日本、千代田区・佐伯家。


「へっくしょん!!」


和也が盛大なくしゃみをした。


「……なんだ?」


新聞から顔を上げる。


「誰か噂でもしてるのか。」


向かいでは、絢子が静かにお茶を飲んでいる。


「……拓海、ちゃんと飯食ってるかな。」


「食べていますよ。」


「変な男に騙されてないだろうな。」


「…………」


「英国なんて遠いからなぁ……。」


「…………」


「何かあったら、すぐ父さんが飛んでいってやるからな。拓海……。」


「…………」


絢子は何も言わなかった。


その夫のもとへ


数日後

英国ハミルトン伯爵家から

最高級の紙に金の家紋が刻印された、正式な招待状が届くことになる。


先日

和也が英国へ殴り込みに行くことは、妻・絢子によって阻止された。


だが。


今度は

エドワードの方から

英国へ正式に招待した。


まだ見ぬ未来の義父という名の猛獣を。

自らの手で。

ハミルトンホールへ――。



【書斎】

~開戦前夜~


招待状の手配を終えたエドワードは、満足そうに頷いていた。


「……これで完璧だ。」


そこへ

書斎を覗いたジョージが尋ねる。


「何が?^^」


「拓海嬢のご両親を、ガーデンパーティへ正式にご招待することにした。」


「へぇ。」


「少し早めに英国へお越しいただいて、その際に婚約についても直接ご挨拶を――」


「…………」


ジョージの動きが止まった。


「……ハミルトン。」


「何だ?」


「拓海ちゃんのお父さんって、どんな人?^^」


「…………」


今度は。


エドワードの動きが止まった。


「……知らない。」


「会ったことは?」


「ない。」


「話したことは?」


「……ない。」


「…………」


「…………」


二人は顔を見合わせた。


しかし

エドワードはすぐに胸を張った。


「問題ない。」


「そう?^^」


「ああ。」


灰色の瞳に、揺るぎない自信が宿る。


「誠意をもってご挨拶すれば、きっとご理解いただける!!」


(`・ω・´)


「…………」


ジョージは思った。


(その自信。)


(どこから来るんだろうねぇ^^w)


五月二十三日。


ハミルトン家、春のガーデンパーティ。


狂犬お嬢様。

過保護魔王。


そして

娘を溺愛する、柔道三段・空手四段の警視庁刑事。


物理型ラスボス。


役者は

着々と揃いつつあった――(笑)。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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