ハミルトン伯爵が幸せになるまで:24
ベタ展開をこれでもかとぶち込んだラブコメが見たくてやってたらなかなか進まん(´・ω・`)
『夜会とは、英国社交界の頂点で楚々とした令嬢の皮を被った狂犬(拓海)が、ファーストダンスで若き伯爵の理性を完全に崩壊させたかと思えば、数十分後には庭園の大木で爆睡し、その落差だけで英国社交界に新たな伝説を刻む現象のことであるという話』
【ハミルトンホール・大舞踏会】
~完璧な令嬢~
眩いシャンデリア。
優雅に響くオーケストラ。
英国社交界を代表する招待客たちが見守る中、エドワード・ハミルトンは一人の少女を伴い、
大階段をゆっくりと降りてきた。
純白のドレス。
美しく結い上げられた黒髪。
凛とした立ち姿。
誰もが息を呑む。
(どなた……?)
(まさか、エドワード様のお相手……?)
(あんな方がいらしたなんて……。)
しかし、その美少女の胸中はまったく別だった。
拓海(……くそが。)
(詩織ねーちゃんに「私も招待されてるから、粗相したら承知しないわよ^^」って脅されたんだ。)
(今日だけだ……。)
(今日だけ猫かぶればいい……!!)
そんな決意とは裏腹に、エドワードは幸せの絶頂だった。
ファーストダンス。
そっと重なる手。
流れるようなステップ。
エドワードは夢を見るように拓海を見つめる。
(拓海嬢と踊っている。)
(こんな日が来るとは……。)
(神よ、感謝いたします。)
壁際でその様子を眺めていたジョージは、小さく笑った。
「完全に昇天してるね^^」
◆
【晩餐】
~最大の敵はコルセット~
ダンスが終わるや否や、拓海は一直線に料理の並ぶテーブルへ向かった。
(ローストビーフ!)
(ターキー!)
(全部食う!!)
だが。
「…………ッ!!」
コルセットが胃を容赦なく締め付ける。
(食えねぇ……。)
(こんな目の前にあるのに……。)
目の前には豪華な料理。
だが、身体が受け付けない。
拓海は料理をじっと睨んだ。
「……。」
「食えないなら。」
「飲む!!^^」
そこから先は早かった。
シャンパン。
ワイン。
エール。
カクテル。
手当たり次第にグラスが空いていく。
「……あっつ。」
「なんか楽しくなってきた^^」
頬を赤く染めた拓海は、そのままふらふらと夜の庭園へ姿を消した。
◆
【夜の庭園】
~狂犬、復活~
その頃。
「拓海嬢……?」
「拓海嬢?」
会場を見回したエドワードの顔色が変わる。
「ジョージ。」
「拓海嬢を知らないか。」
「さっきお酒を飲んで庭の方へ行ったよ^^」
その一言で、エドワードは血相を変えて飛び出した。
夜の庭園。
月明かりに照らされた大木の下。
そこにはあちこちに脱ぎ捨てられたパンプスとショール。
そして。
「…………。」
枝の上で、器用に眠っている純白の令嬢。
「拓海嬢ーーーーーー!!!!」
叫び声に反応した拓海が寝返りを打つ。
「んー……?」
ズルッ。
「!!」
ドレスごと落ちる。
エドワードは反射的に駆け出した。
「拓海嬢!!」
間一髪。
その身体を腕の中へ受け止める。
拓海はぼんやりと目を開けると、エドワードの顔を見上げて笑った。
「……んあ?」
「なんだ。」
「変態外人かぁ^^」
一拍。
「また俺のパンツ見に来たのかー?^^」
エドワードは思わず天を仰ぐ。
ジョージは少し遅れて追いつき、二人を見て吹き出した。
「ハミルトン。」
「君の舞踏会。」
「最後まで期待を裏切らないね^^」
英国社交界の歴史に残る華やかな夜。
その主役は、完璧な令嬢でも、若き伯爵でもない。
ドレス姿で木に登り、酔った勢いで枝から落ちる狂犬お嬢様だったのである……(笑)。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。
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この話もゆるく続いていく予定なので、
また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。




