ハミルトン伯爵が幸せになるまで:22
やばいな‥飛ばさないと終わらない
『再教育とは、英国社交界へ送り出すため狂犬お嬢様(拓海)の生活習慣を矯正しようとした長姉(詩織)が、開始十分で「これは一日では無理ね」と悟る現象のことであるという話』
【女子寮・拓海の部屋】
~地獄の再教育開始~
翌朝
女子寮の一室。
「今日から再教育よ。」
仁王立ちする長女・詩織。
ベッドの上でごろごろしていた拓海は、心底嫌そうな顔をした。
「えぇーー……(=_=)」
「返事。」
「えー。」
「返事。」
「……はい。」
まずは部屋。
「掃除。」
「えー。」
「服は畳む。」
「なんで?」
「スカートで胡座をかかない。」
「無理^^」
「言葉遣い。」
「おう!」
「違う。」
開始十分。
詩織は額を押さえた。
「……これは一日では終わらないわね。」
拓海は嬉しそうに頷く。
「じゃあ今日は終わり?^^」
「終わりません。」
「明日は歩き方。」
「その次は座り方。」
「その次は食事のマナー。」
拓海は天井を見上げた。
「……ぅぇぇぇぇ。」
◆
【夜】
~姉のため息~
一通り片付けが終わる頃には、時計は八時を回っていた。
「夕飯は?」
「まだー。」
「何食べたい?」
「ラーメン^^」
「……分かった。」
台所へ向かおうとした詩織は、不意に足を止める。
「拓海。」
「ちゃんとお風呂入ってる?なんか匂うんだけど?」
「入ったぞ。」
「いつ?」
「五日前^^」
詩織の動きが止まった。
「…………。」
「寒いし。」
「汗かいてないし。」
「大丈夫だろ?^^」
「大丈夫じゃありません。」
次の瞬間。
「今すぐ入りなさい!!」
「えーー。」
「舌打ちしない!」
「(・д・)チッ」
「拓海ぃぃぃぃ!!!!」
女子寮に長女の雷が落ちた。
◆
【ハミルトンホール】
~幸せな勘違い~
その頃。
ハミルトンホールでは。
窓の外を眺めながら、エドワードが静かに微笑んでいた。
「……今頃。」
「拓海嬢は、お姉様と楽しく過ごしておられるのだろうな。」
翡翠の瞳はどこまでも幸せそうである。
ジョージは新聞から目を離さず呟いた。
「うん。」
「たぶん今頃、お姉さんに怒鳴られてるよ^^」
エドワードは穏やかに首を振る。
「そんなはずはない。」
「お二人は、とても仲の良い姉妹だからね。」
その頃、女子寮。
「拓海ぃぃぃぃ!!!!」
「ギャーーー!!」
ロンドンの夜空へ響く絶叫を、エドワードだけは
最後まで幸せな姉妹の談笑だと信じて疑わなかったのだった……(笑)。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。
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この話もゆるく続いていく予定なので、
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