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ハミルトン伯爵が幸せになるまで:12

ずれる認識(`・ω・´)

平行デートとは、人生最高の初デートを計画した過保護魔王エドワードと、タダ飯だけを楽しみにドカジャン姿で現れた狂犬お嬢様(拓海)の目的が、最後まで一ミリも交わらない現象のことである』という話


【学園都市・広場前】

~人生最高の初デート~


「クリスマスだから。」


「初デートだから。」


「彼女には、最高の一日を過ごしていただきたい。」


そう考えた結果、

エドワード・ハミルトンは、少しやり過ぎた。


待ち合わせ場所には、黒塗りのリムジン。

運転手がドアを開け、その後ろには老執事。

車内には温かい飲み物と膝掛け。

マーケットでは特別案内。

食事は予約済み。


エドワードは一つ頷く。


「……完璧だ。」


その時だった。


「おー! エド!!^^」


元気な声が響く。


振り向いたエドワードは、その場で固まった。


モコモコのドカジャン。

変なポンポンが付いた毛糸帽。

軍手。

足元は歩きやすさ重視のスニーカー。


”完全防寒仕様”の拓海が、大きく手を振っていた。


「寒ぃなー!」


「……。」


「エド?」


「…………。」


(愛称。)


(私を。)


(愛称で呼んでくださった。)


ジョージは隣で静かに呟く。


「終わったね。」


「何がだ。」


「君の理性。」



【クリスマスマーケット】


イルミネーションが街を彩る。

エドワードは歩幅を合わせながら微笑んだ。


「この景色をご覧ください。」


「うおっ!」


拓海の目が輝く。


「ソーセージ!!!!^^」


一目散に屋台へ走る。


「一本!」


「二本!」


「ホットワインも!」


エドワードは慌てて後を追う。


「拓海嬢。」


「実は今日―」


「うまっ!!^^」


「……。」


「このホットワイン最高!」


「……。」


「焼き栗ある!」


「……。」


「チュロスも!」


エドワードは何度か話しかけようとする。


しかし

そのたびに拓海は屋台を見つけて走っていく。


「エド!」


「はい。」


「これもうまいぞ!」


「……ええ。」


結局。


エドワードが一番多く口にした言葉は、


「どうぞ。」


だった。



少し離れた屋台。

ジョージはホットワインを飲みながら二人を眺めていた。


「……。」


「進まない。」


一口飲む。


「恋愛は一ミリも進まない。」


もう一口。


「でも。」


「食べ歩きだけは順調だね。」



【帰り道】


「今日は本当にありがとうございました。」


エドワードが静かに頭を下げる。

拓海は満面の笑みだった。


「最高だった!^^」


エドワードの胸が熱くなる。


(私との時間が。)


(彼女にとって。)


(”最高”だった……。)


「また行こうな!」


「はい!」


「ソーセージ!」


「……。」


ジョージが即座に突っ込む。


「ハミルトン。」


「勘違いしない。」


「最高だったのは。」


「君じゃない。」


「ソーセージだ。」


「……。」


少しだけ肩を落とすエドワード。

だが、すぐに顔を上げた。


「拓海嬢。」


「はい?」


「来週、ハミルトン家のクリスマス舞踏会があります。」


「へぇ。」


「ぜひ私のパートナーとして――」


「ドレス持ってねぇ^^」


即答だった。


「でしたら準備します。」


「え?」


「世界最高の仕立て屋に依頼します。」


「マジで?」


「もちろんです。」


拓海は少し考えてから笑った。


「じゃあ行く!^^」


「飯も出る?」


「もちろんです。」


「やった!」


その一言だけで十分だった。


エドワードは静かに微笑む。


ジョージは空を見上げて苦笑する。


「……結局。」


「最後まで目的が違うんだよなぁ。」


ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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