ハミルトン伯爵が幸せになるまで:6
男でも女でも拓海は拓海(`・ω・´)
『害虫とは、学園の芝生でスカートのまま大の字で昼寝し、困っている人を放っておけず、無自覚な笑顔と美貌を全方位へ振りまく狂犬お嬢様(拓海)の周囲へ群がる男子生徒たちのことであり、それを木陰から観察する西欧の魔王によって「害虫駆除」の対象として認定される存在のことである』という話
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【学園都市・キャンパス中央広場】
~狂犬お嬢様の日常~
電動キックボード事件以来。
佐伯拓海は、すっかり学園の名物学生になっていた。
「すみません!図書館ってどっちですか!?^^」
初対面だろうが何だろうが関係ない。
一秒で距離を詰める。
「それ重そうだな!」
大量の資料を抱えてふらつく男子学生を見つければ、
「貸しな!^^」
ひょいっと奪い取り、そのまま目的地まで運ぶ。
「ありがとうございます!」
「気にすんな!」
教授が階段で本を落とせば駆け寄り、
迷子になった留学生がいれば一緒に構内を歩き回る。
誰かが困っていれば、考えるより先に体が動く。
それが佐伯拓海だった。
◆
そんなある日。
「やめろ!!」
キャンパスの一角から怒鳴り声が響く。
男子学生同士の喧嘩だった。
「お前ふざけんな!」
「そっちが先だろ!」
周囲の学生は遠巻きに眺めるだけ。
「止めた方が……。」
「でも怖いし……。」
その時だった。
「おお!?喧嘩か!?^^」
どこからともなく拓海が現れる。
「おい!」
二人が振り向く。
「喧嘩すんな!」
「……。」
「仲良くしろ!」
「この馬鹿ちんがぁぁぁぁ!!^^」
ドゴォッ!!
バキィッ!!
二人まとめて正拳突き。
さらに華麗な回し蹴り。
「あ、お姉さま!」
女子学生が悲鳴を上げる。
「ス、スカート!!」
「ん?」
拓海は一瞬だけ自分の足元を見る。
「あ。」
一秒だけスカートを押さえる。
「……まぁいっか^^」
ドカァン!!
「まだやるか、この馬鹿ちんども!!」
男子学生A
「なんで俺まで殴られるんだよ!」
男子学生B
「止めるならあいつだけ殴れよ!」
拓海
「両方悪い!!^^」
「「理不尽だぁぁぁ!!」」
結局
二人とも仲良く正座させられ、
十分ほど説教を受けることになった。
説教が終わる頃には、
「……悪かった。」
「俺も。」
二人は照れくさそうに握手していた。
「それでよし!^^」
拓海は満足そうに笑う。
「今度から喧嘩するなら、まず話し合え!」
「はい!」
「あと腹減ってるとイライラするから飯食え飯!」
「はい!」
「以上!」
そのまま颯爽と去っていく。
「……。」
男子学生Aが呟く。
「佐伯さん……格好いいな。」
「……惚れるわ。」
◆
それ以来
男子学生たちは何かと拓海へ話しかけるようになった。
「佐伯さん、一緒に昼飯どう?」
「いいぞ!」
「佐伯さん、その後図書館行く?」
「行く行く!」
「佐伯さん!」
「佐伯さん!」
本人は全員を友達としか思っていない。
しかし。
周囲の男子はそうではなかった。
◆
【キャンパスの木陰】
その様子を、大木の陰から静かに眺める青年がいた。
「……ジョージ。」
「何だい。」
「害虫が増えた。」
「またその話?」
エドワードの翡翠の瞳は、
拓海の周りへ集まる男子学生たちを一人ずつ見つめていた。
「あれだ。」
「全部。」
「害虫。」
ジョージは吹き出した。
「いやいや、普通に友達だよ?」
「違う。」
「害虫だ。」
「君さ……。」
「佐伯さんは全員に同じ対応してるだけだよ?」
「だから危険なのだ。」
即答だった。
ジョージは額を押さえる。
「で?」
「どうする気?」
エドワードは真顔で答えた。
「駆除する。」
「却下。」
「何故だ。」
「人間だから。」
「……。」
「害虫ではないのか。」
「違う。」
「学生。」
「そうか。」
一応納得したように頷く。
だが
その翡翠の瞳は、
拓海へ笑いかける男子学生たちを、一人残らず記憶していた。
(名前。)
(所属。)
(専攻。)
(接触頻度。)
(危険度。)
脳内で淡々と整理されていくデータ。
ジョージは深いため息をつく。
「……拓海さん。」
「君が止めるのは喧嘩だけじゃない。」
「この恋する伯爵も、早く止めてあげてくれ。」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。
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この話もゆるく続いていく予定なので、
また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。




