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小話14 「安息(ブレイク)とは、学校だけが心の拠り所だった十歳の悠馬の前へ、「悠馬の言うことは絶対」と洗脳された大型犬男子(ノア)が送り込まれ、最後の安息まで奪われる現象のことである」という話

次からちょっと短編。

「ハミルトン伯爵が幸せになるまで」

を載せます(`・ω・´)

【地元小学校 入学初日】


十歳になった悠馬には、密かな楽しみがあった。


【学校】


そこだけは、


家庭教師も。

帝王学も。

エドワード伯爵も。

拓海も。


誰もいない。


唯一、”普通の子ども”として過ごせる場所だった。


しかし、その平穏は終わる。

五歳になったノア・ハミルトンが入学したのである。

しかも学校には、ハミルトンホールから一枚の申し送りが届いていた。


【申し送り事項】


ノア様が問題を起こした際は、伯爵様ではなく、佐伯悠馬君へご連絡ください。


担任教師は首を傾げた。


「……十歳の子に?」


意味が分からない。

だが、その疑問は登校初日に消え去る。


【一年生教室】


「ノア君!! 席に着きなさい!!」


「うおおおお!!」


「ぶん回すーー!!」


教室中を駆け回るノア。


机が揺れる。

椅子が飛ぶ。

先生の声は一切届かない。


担任は観念した。


「……佐伯君を呼んでください。」


数分後。

悠馬が静かに教室へ入ってきた。


「……ノア。」


暴れていた大型犬が止まる。


「……悠馬お兄ちゃん?」


「ここは教室です。」


静かな声。

怒鳴りもしない。

走りもしない。


「先生のお話は聞きましょう。」


「…………はい。」


その一言だけだった。


ノアは素直に席へ座り、

カバンを片付け、

教科書を開いた。


教室中が静まり返る。


教師たちは呆然とした。


(……本当に止まった。)


その日以来

学校には新しい共通認識が生まれた。


『ノアには悠馬を呼べ。』


それだけで全て解決する。


【放課後】


机に突っ伏す悠馬。


「……学校だけは……」


ポツリと呟く。


「学校だけは僕の安息だったのに……」


家庭教師

帝王学

ハミルトン家


全部忘れられる唯一の場所。

その最後の砦へ。

拓海が育てた大型犬が送り込まれた。


「……僕の唯一の安息がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


半分涙目で悠馬は思った。


「あんのクソおやじいぃぃぃぃ(´;ω;`)ブワッ」


遠く離れたハミルトンホール。


「へっくしゅん!!」


拓海が豪快なくしゃみをした。


「おっ、誰か俺のこと考えてんな!^^」


「拓海。」


エドワードが紅茶を飲みながら呟く。


「おそらく悠馬だ。」


「そうか! 元気そうで何よりだな!!^^」


「……実に親子らしい。」


その頃。


悠馬は胃薬を一錠追加していた。


……学校は、もう安息の地ではなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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