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幕間(オマケ) 「記録は、封印されるべきだ」という話

悠馬→拓海の息子

ノア→エドワードの息子


性格は逆は真逆ですがw(詳細は佐伯悠馬君三部作を…)

ハミルトン邸・書庫。


「ブハハハハハ!!」


静寂をぶち壊す笑い声。

ノアが床に座り込んでいる。

手には一冊のノート。


【サエキ事変:観測記録及び年表】


「待って、無理……父上達何やってたのこれ!!」


腹を抱えて笑う。


「“構造的リードによる完全同期”って何!? ダンスで何やってたの!?」


ページを叩く。


「ヒィヒィ…しかもこれ……“日英国際紛争の火種”って!!」


涙が出ている。


「火種じゃないだろただの勘違いだろ!!ギャハハハハ」


そのとき。


「……何を騒いでいる」


静かな声がする。

振り向くと、悠馬が立っていた。

いつもの、落ち着いた表情。


「兄さん!! これ見て!!」


ノアが涙を拭きながらノートを突き出す。


悠馬は受け取る。

そして表紙を見る。


一拍。


開いて、沈黙。

ページをめくる。

さらにめくる。


止まる。


「……」


完全に、止まった。


「……兄さん?」


ノアが覗き込む。


悠馬は、ゆっくりと口を開いた。


「……叔父上と父さんは」


一拍。


「学校で、何を、していたんでしょうか」


「でしょ!?」


ノアが即答する。


「俺も今それ思ってた!!」


悠馬は、もう一度ページを見る。

指先で、ある一行をなぞる。


※この時、タクミの耳は、お雛様のように赤かった


「……なぜ」


静かに呟く。


「記録しているんですか」


「そこ気になる!?」


ノアが笑いながらツッコむ。


「いやでも全部おかしいよこれ!!」


「“ハミルトン騎士として叙任”って何!? 誰が決めたの!?」


悠馬は、無言でページを閉じた。


そして。


「……これは」


一拍。


「残してはいけない記録です」


「でしょ!?」


ノアが頷く。


「でもさ、これさ…ククク」


言いかけた、その瞬間。


「おい」


低い声。

空気が変わる。


振り向く。

拓海が立っていた。


「……それ」


視線が、ノートに落ちる。


一歩。

近づく。


「どこから持ってきた…」


「いや、書庫にあって――」


ノアが言い終わる前に。


――ひょい。


拓海がノートを奪い取った。


速い。


「……あー……」


パラパラとページをめくる。


数秒。

沈黙。

そして。


「……燃やすか」


「待って!?」


ノアが叫ぶ。


「歴史的資料だよそれ!?」


「黒歴史だろ」


即答。


「残す価値ねぇ」


「あるよ!! 面白いもん!!」


「お前だけだろそれ!」


悠馬が静かに言う。


「父さん」


拓海が止まる。


「……なんだ」


「それは」


一拍。


「本当に燃やしていいものですか」


「いいだろ」


「後世の記録が」


「いらん」


即答だった。


沈黙。

ノアが、こそこそと口を挟む。


「いやでもさ、これさ……」


ちらっとノートを見る。


「母さん(菜摘)に見せたら、絶対面白くない?」


「やめろ」


拓海が即答する。


「絶対やめろ」


「えー」


「やめろ」


「えー」


そのとき。

悠馬が、静かに言った。


「……写しを取ってからでも」


「取るな!!」


即座に否定。

だが。

一瞬、間が空く。


ノアと悠馬が、同時に目を逸らした。


「……おい」


拓海が低く言う。


「もうやったのか」


沈黙。


「……合理的判断で」


「やってんじゃねぇか!!」


完全に手遅れだった。


拓海は、ゆっくりと天井を見上げる。


「……終わった……」


一拍。


「俺の人生……」


その横で。


ノアが、小声で呟く。


「タイトルどうする?」


「やめろ」


「“サエキ事変・完全版”とか?」


「やめろって言ってんだろ!!」


笑い声が、書庫に響いた。


ただ一人を除いて。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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