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第三百三十話 「距離が近づくほど、人はまともでいられなくなる」という話

エドワード・・それただの迷惑行為w

一月。深夜の寮。

拓海が、お茶会の疲れで泥のように眠りに落ちようとしていた、その時。


ドン、ドン、ドン!!


ドアが、物理的に破壊されんばかりの勢いで叩かれた。


「タクミ! 開けろ! 緊急事態だ、君の実存が危機に瀕している!」


現れたのは、高級コートを振り乱し、目に狂気を宿した資本主義の魔王だった。


「……うっせぇんだよ、バカ!! 何時だと思ってんだ、死ね(比喩)!!」


拓海が枕を投げつける。


だがエドワードはそれを華麗に回避し、当然のようにベッドの端へ腰を下ろした。


「聞いたぞ」


「君の姉上を通じて、既に三件の公式な打診が来ていると」


「タクミ」


一拍。


「兼好法師は言った―あだし野の露消ゆる時なく」


「命は無常だ」


「だが、君への縁談は、それ以上に無常であり、卑俗なノイズだ」


「……何言ってんだ、バカ。兼好法師に謝れ」


「清少納言も言っている!」


「冬はつとめて――」


「そして、何者にも邪魔されぬ、君と私の静寂こそが“をかし”なのだ!」


「なのに何だ、あの有象無象は!」


エドワードは、サウス・ケンジントンで見た男たちのリストを、悪魔の書のように握りしめている。


「……言ってねぇよ」


「お前の解釈、全部私物化じゃねぇか、バカ」


「敵が増えたのだ、タクミ!」


「だから私が守る必要がある」


「他人に選ばれる前に、選択肢を全て消す」


「それが、私の愛だ」


「物騒すぎんだろ!!」


「犯罪の思想だよ、バカ!!」


拓海が全力で蹴り落とそうとする。


だがエドワードは、驚異的な粘着力でベッドに居座り続けた。


「あーあwww」


「それ文学じゃなくて、ただの独裁宣言だよ(笑)」


ドアの隙間から、自撮り棒が差し込まれる。


フラッシュ。


「ハミルトン様」


「兼好法師も納言も、君の監視彼氏化のために書いたんじゃないと思うよ」


■ジョージの機密ログ(一月:古典的ストーキング)


一月。深夜の寮の廊下。


僕は、ハミルトン様が古典の力を借りて、自分の暴走を芸術に昇華しようとする瞬間を見たよ。


サエキ。


君の「知らねぇよ」は、もはやこの魔王にとって心地よいBGMだ。


拒絶されるほど、彼は自分を“試される存在”として解釈する。


ハミルトン様。


君は「選択肢を消す」と言ったね。


だが、君がまず消すべきノイズは―


君自身だ。


サエキの平穏を乱している最大要因は、


縁談ではなく、深夜にドアを叩く君だよ。


■ジョージ幕間(観測ログ:84-UK・枕草子・独占欲編)


エドワード(主演・古典を武器にする魔王):


「ジョージ!」


「遠くて近きもの――それは男女の仲!」


「そして、私とタクミの距離だ!」


「私は今、それをゼロにするためにここにいる!」


ジョージ(観察員):


「それ“近すぎて迷惑なもの”の間違いだよ(笑)」


一枚の写真を差し出す。


警察を呼ぼうとスマホを構えるサエキ。


「見てよ」


「君、もう不法侵入者として評価され始めてる」


(締め)


拓海(布団を被りながら):


「……おいエド」


「一分以内に消えろ」


「……じゃないと明日から、お前の席、全部消臭スプレーかけるぞ」


沈黙。


エドワード、立ち上がる。


「……理解した」


「それは耐え難い」


素直に帰る。


(追記)


「困ったねw」


ジョージは、満足げに去っていくエドワードを見送りながら、肩を震わせた。


「ハミルトン様」


「君がどれだけ壊れても」


「結局止めるのは――」


「彼の現実的な一撃なんだよ」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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