第三百話 「十二月とは、一人の受験生の通知で各方面が騒がしくなる月である」という話
僕は今日3時間昼寝してしまい午後を無駄にしました(´;ω;`)
十二月。自習室。
暖房の効いた静かな部屋で、拓海は猛烈な眠気と戦いながら、角の潰れた問題集をめくっていた。
シャープペンの音。
ページをめくる音。
咳払い一つない空気。
その時。
スマホが一度だけ震えた。
画面には、真鍋さんの名前。
”面接結果が出ました”
拓海は数秒その文字を見つめ、重い指で通知を開く。
スクロール。
確認。
停止。
「……通過」
隣で佐藤が、参考書から目を離さず尋ねた。
「で?」
「どうだったんだい」
拓海はスマホを伏せた。
「……腹減った。牛丼行くか」
佐藤はようやく顔を上げた。
「合格したのか。不合格なのか。どっちだ」
「受かったよ。……でも次、また試験あるけどな」
勝利の実感よりも、
“まだ先がある”という面倒くささの方が大きかった。
佐藤は眼鏡を押し上げ、深く息を吐く。
「腹立つから、今日は奢らないよ」
■ジョージの機密ログ(十二月:各国の狂騒)
十二月。佐伯家の廊下。
僕は、サエキの通過報告を受けた瞬間に、英国の魔王が爆発したのを感じたよ。
ハミルトン様。
君は「当然だ!!!!」と叫んで、使用人たちに無理やり拍手をさせていたね。
でも、現場のサエキは、君の祝福よりも牛丼の紅生姜の量に集中しているよ。
真鍋さん。
君が「想定通りの評価です」と静かに微笑んでいたのが、一番怖かったよ。
■ジョージ幕間(観測ログ:43-TOKYO・通過点編)
エドワード(英国・残留組):
通過の報を受け、立ち上がる。
「当然だ!!」
一拍。
「……タクミは今ごろ、私の肖像画に祈りを捧げているに違いない」
誰も訂正しなかった。
ジョージ(日本・特派員):
祈るどころか、牛丼屋のカウンターで
「つゆだくで、バカ!」
って叫んでるよ(笑)
サエキ。君は本当に、期待を豪快に裏切る男だね
拓海(牛丼屋):
「……はー……次、英作文あんのかよ……面倒すぎんだろ」
通過の余韻は、一秒で消えていた。
(追記)
「あーあwwww」
ジョージは、
母の「おめでとう!」という弾んだ声。
父の「ああ」と短い頷き。
その真ん中で、無心に飯をかきこむサエキを激写した。
「ハミルトン様。君がどれだけ彼を高みに置きたくても。
彼を一番地に足つけているのは、君の賞賛じゃなく――
腹を満たすことと、明日の単語を覚えることなんだよ。(笑)」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。
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この話もゆるく続いていく予定なので、
また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。




