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幕間 「特派員とは、海を越えたバカの情熱を、最前線で浴びる仕事である」という話

幕間2つ目 なんかもう全部本編でいいんじゃないかって気もする

九月。日本、予備校近くのカフェ。

ジョージは、英国から届いた最新の指令書と、

添付された膨大な資料データを眺め、深く溜息をついた。


エドワードは今、最終学年。

次期当主として重圧の真っただ中にいるはずだった。


それなのに、日本への干渉だけは一切衰えていない。


ジョージの端末には、執拗なメッセージが並んでいた。


******************

タクミの模試結果を送れ。

偏差値だけでなく、筆跡から集中力の推移も分析しろ。


佐藤との接触時間が昨日より三十分増えている。

理由を至急報告せよ。


最近の歩幅も気になる。計測しろ。

******************


ジョージは眉間を押さえた。


「……ハミルトン様」


「最終学年の責任、どうしたんだい(笑)」


「……まあ、いいけどさ」


そう呟きながら席を立つ。


ちょうど、自習室から拓海が出てきた。


目の下には隈。

肩は落ち、足取りも重い。


ボロボロである。


ジョージは何も言わず、冷たい缶コーヒーを差し出した。


拓海は受け取りながら顔をしかめる。


「……お前、まだ日本にいんのかよ」


「特派員だからね(笑)」


「意味わかんねぇよ」


■ジョージの機密ログ(九月:日本の現場より)


九月。千代田区、予備校前。

僕は、サエキがA判定という結果を手にしながら、

ただ「眠い」と呟くのを見守っているよ。


ハミルトン様。

君は英国で“あと一年”と小躍りしているけれど。

現場のサエキは、君が想像しているよりずっと、

今、この一日を生き抜くことで精一杯だ。


サエキ。

君の隣にいる佐藤君が、最近ずっと僕を見ている。

たぶん、

”所属不明の外国人”

として冷静にプロファイリングしているね(笑)。


■ジョージ幕間(観測ログ:34-TOKYO・日本の空気編)


エドワード(英国・残留組):

タクミが剣道をしているそうだな。

胴着の洗濯には、ハミルトン家指定の洗剤を使わせろ。


もはや生活指導である。


ジョージ(日本・特派員):

「無理言わないでよ(笑)」


「サエキ、普通に家の洗剤で洗ってるよ」


「佐藤君にも、“君の友人、家事代行でも始めたいの?”って呆れられてたよ」


拓海(日本・自習室):

「ジョージ。お前、いい加減帰れよ……バカ……」


監視の目に慣れながら、赤本を解き続ける。


(追記)


「やれやれ、だなぁ」


ジョージは、日本で買った合格祈願のお守りを、


「エドには内緒だぞ」


と小声で言いながら鞄につけるサエキを激写した。


「ハミルトン様。君がどれだけ権力で彼を導きたくても。


彼が今、一番大切にしているのは―

君の高級洗剤じゃなく、

日本の神社で買った、小さな自分の意志の象徴なんだよねぇ(笑)」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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