幕間 「努力する先輩より、謎の外人の方が記憶に残る」という話
まぁ、そうなるよね(`・ω・´)
十月初旬。予備校。
新入生たちの間で、一つの伝説が語られていた。
「あのサエキ先輩、朝一から自習室にいるらしいよ」
「模試もA判定だって」
「でも無言で怖いし、たまに剣道の防具臭がする日がある」
「ガチ勢だよな……近寄れないオーラある」
努力と根性で積み上げられた、受験生の理想像。
それが、佐伯拓海だった。
だが。
そんな噂も、一瞬で吹き飛ぶ事態が起きる。
「……てかさ」
「……あの外人誰?」
予備校ロビー。
場違いなほどスタイリッシュな男が、缶コーヒー片手に立っていた。
背筋は伸び、姿勢は完璧。
笑顔は爽やか。
なのに存在だけが不審。
拓海に親しげに話しかける、その謎の男―ジョージ。
彼の放つ圧倒的違和感の前に、
拓海の血の滲むような努力は、見事に霞んでいった。
【一か月後】
新入りA。
「サエキ先輩、今日も追い込んでたな。やっぱすげぇよ」
新入りB。
「うん。尊敬する」
新入りC。
「……で、あの外人、結局誰なんだよ?」
全員。
「「「それな」」」
拓海が人生をかけて積み上げている背中の横で、
話題だけをすべて持っていくジョージ。
隣で佐藤が、静かに呟いた。
「一番普通じゃないのは」
「……あの男を平然と受け入れてる拓海の方だけどね」
■ジョージの機密ログ(十月:予備校の異物)
十月。予備校ロビー。
僕は、新入生たちが僕の正体を探ろうと、遠巻きに視線を送ってくるのを楽しんでいるよ。
ハミルトン様。
君の相棒は“努力の人”として尊敬を集めているけれど。
残念ながら、僕のキャラの濃さが、彼のストイックなイメージを台無しにしているみたいだ(笑)。
サエキ。
君は「ジョージ、うるせぇ」と一蹴しているけれど。
君が僕を“日常”として扱えば扱うほど、
周囲の君への評価は、
謎の多い男
へと加速していくんだよ。
■ジョージ幕間(観測ログ:37-TOKYO・謎の外人旋風編)
エドワード(英国・残留組):
「当然だ」
「私の代理人が、凡庸な受験生に紛れるはずがない」
鼻高々である。
数秒後。
「……だがジョージ。タクミより目立つことは許さん」
「次からは忍者のように気配を消せ」
ジョージ(日本・特派員):
「無理言わないでよ(笑)」
「僕の見た目で忍者は無理だよ」
「サエキ、“お前のせいで変な目で見られるだろ、バカ!”って本気で怒ってたよ」
拓海(自習室):
「……ったく」
「どいつもこいつも、勉強に集中しろ……バカ……」
周囲の視線を背中に感じながら、今日もペンを走らせる。
(追記)
「あーあwwww」
ジョージは、新入りたちの会話を耳にした。
「……あの外人、サエキ先輩の専属ボディーガードらしいぜ」
ジョージは満足げに微笑んだ。
「ハミルトン様。君がどれだけ彼を特別にしたくても。
彼を一番浮かせているのは、君の教育じゃなく―
僕という不審なノイズが作り出す、あまりにも不自然な日常なんだよ。バカ(笑)」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。
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この話もゆるく続いていく予定なので、
また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。




