表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
290/383

幕間 「進路とは、千代田区の結界を潜り抜けて、バカを盗撮する覚悟を決める行為である」という話

拓海君意外とすごいとこ住んでる件

五月。ハミルトン邸・作戦室。

ジョージは、千代田区の精密地図を机いっぱいに広げ、深いため息をついた。


「ハミルトン様。重大な計算違いがありました」


「申してみろ」


「サエキの実家、千代田区の一等地じゃないですか」


ジョージは地図の一点を指差す。


「ここ、僕がドローンを一機飛ばした瞬間に、警備関係者と各方面の人間が同時出動してくる、

日本でも屈指のハードモード観測地点ですよ(笑)」


エドワードは微動だにしなかった。


「案ずるな、ジョージ」


「嫌な予感しかしないね」


「既に周辺高層建築の買収候補、監視角度、日照時間、マヨネーズ搬入経路まで調査済みだ」


「……本気で国家規模の無駄遣いを始めたね、このバカは(笑)」


ジョージは額を押さえながらも、千代田区の街並みに自然に溶け込む高級スーツの採寸を始めた。


「潜入には品格が必要ですからね」


「うむ」


「あと会員制ジムの偽装会員証、三枚ほど用意します」


「有能だ」


「褒められても嬉しくないですよ」


エドワードは窓辺に立ち、遠く日本の方角を見るように腕を組んだ。


「いいか、ジョージ」


「はいはい」


「千代田区という日本の心臓部で、タクミが納豆を混ぜるその瞬間――」


「嫌な導入だね」


「ハミルトン家の眼(お前)は、皇居の森の彼方から、その毛穴すら捉える」


「僕のライカを何だと思ってるんですか(笑)」


だが、ジョージの瞳もまた、わずかに燃えていた。


MI6という組織では味わえない任務。

国家機密でも、国際交渉でもない。


千代田区の野生児・追跡ミッション。


英国の優秀な若者が、番町・麹町界隈を戦場と見定める日が来るとは、誰が予想しただろう。


その頃、何も知らぬ拓海は呑気に雑談していた。


「ジョージ、日本来たら遊び来いよ。実家の周り、うまい店多いぞ」


ジョージは一瞬だけ黙った。


「……行くよ」


「お、マジで?」


「マジでね」


君は、自分の私生活が国際的監視対象になったことに、少しは危機感を持つべきだよ。


■ジョージの機密ログ(五月:千代田区監視網)


五月。荷造り中。


僕は今、高級会員制ジムの身分証を三枚、自然な出来で作ってしまった。


サエキ。

君の実家、そんな城みたいな場所だったんだね。


泥だらけでラグビーしていた君が、あんな窮屈な街の真ん中から来ていたなんて、少し納得したよ。

自由に走る理由が、最初から必要だったんだ。


僕の任務は、”日本の中心でバカを撮る”こと。


千代田区の空に、ライカのシャッター音を響かせてやるよ。


■ジョージ幕間(観測ログ:00-BAKA・千代田区潜入編)


五月。談話室。


エドワード(依頼主):

サエキ実家周辺の資産価値を査定し、「周辺から包囲する」計画を立案。

千代田区の一角を“ハミルトン・サエキ特別観測区”へ改称できないか真剣に検討中。


ジョージ(潜入員):

「いやー、ハードだね(笑)。ハミルトン様、僕に“千代田区全コンビニの

マヨネーズ在庫を把握しろ”って命じてきたよ。何の任務なんだい、これ」


拓海(千代田区の野生児):

「ジョージ、日本来たら道場も見せてやるよ」と無邪気にストーカーを歓迎中。

自宅周辺が作戦区域になったことに一ミリも気づいていない。


(追記)


「やれやれ、だな」


ジョージは、地図に赤ペンで


『タクミ生息域(聖域)』


と真顔で書き込むエドワードを激写した。


「ハミルトン様。君がどれだけ千代田区を予約しても。彼が一番自由でいられるのは、

君の理屈が届かない空の下なんだよね(笑)」


「ジョージ。番町での潜伏先を―」


「……なら、せいぜい高級マンションでも用意しておいてよ(笑)」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ