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第二百四十二話 「試験とは、学力を測る制度ではなく、理屈屋が他人の答案まで管理しようとして破綻する催しである」という話

この話がep273。今回予定している話の全体から見るとまだ半分も行ってないという事実。ねぇこれほんとにおわるの?(´;ω;`)

二月。ハーフターム明け。模試当日。

卒業後の進路にも影響すると噂される重要な試験の日。


試験会場の入り口には、受験生たちよりも明らかに殺気立った一人の男が立っていた。

エドワード・ハミルトンである。


「タクミ。最終確認だ」


「朝から声でけぇよ」


「鉛筆は予備を含め三本。消しゴムは角の数まで計算済みの最新型。時計は故障時を想定し二個。すべてお前のポケットへ予約通り収納した」


「重てぇんだよバカ!!」


拓海が制服のポケットを叩く。


「なんで俺が文房具屋の在庫抱えて試験受けなきゃなんねぇんだよ!」


「備えあれば憂いなしだ」


「備えすぎて歩きづれぇんだよ!」


対する拓海は、盛大な寝癖のまま欠伸をしていた。

片手には筆記具一本。

もう片方の手には、食べかけのパン。


だがこの男、雑に見えて成績は妙に良い。

前回の校内順位は四位。


教師陣からは「本気を出せば一位も狙えるのに、本人にその気が一切ない」

と評されている厄介な秀才だった。


「朝飯は食ったか」


「今食ってる」


「遅い。私の計算では、お前の脳が最高効率で回転するには、あと百キロカロリー足りん」


「知らねぇよ。お前が朝から予約済みスケジュール読み上げるせいで食う暇なかったんだろ!」


「……不測の事態だな」


「全部お前が原因だよ」


エドワードは胸元から会場案内図を取り出した。


「安心しろ。教室はこの廊下の突き当たり右。席順も暗記済みだ」


「へいへい」


拓海はパンを咥えたまま歩き出した。


三十分後。

試験開始直前。


窓が勢いよく開き、別棟の外廊下から拓海が飛び込んできた。


「……おいエド」


「遅いぞ。何をしていた」


「教室、逆だったぞバカ」


「……何だと?」


「お前、会場図を上下逆さまに読んでた」


「そんなはずは――」


エドワードが紙を見下ろす。

本当に逆だった。


「……予約外だ」


「予約で世界回ってねぇんだよ!!」


監督教師が怒鳴った。


「そこ! 私語をやめて着席しろ!!」


「お前のせいで怒られたじゃねぇか!!」


「私も被害者だ」


「加害者だろ!!」


■結果返却日

数週間後。談話室前の掲示板。

模試結果が張り出され、生徒たちの歓声と悲鳴が入り混じる。

その中で、ひときわ大きな声が響いた。


「……また四位だと?」


エドワードだった。


「なんでお前がショック受けてんだよ」


拓海は肩をすくめる。


「悪くねぇだろ」


「悪くはない」


エドワードは腕を組み、険しい顔で順位表を見る。


「だが、お前は今朝まで寝癖のままで、前日に昼寝をし、試験会場を間違えた男だぞ」


「誰のせいだよ」


「それで四位は腹立たしい」


「理不尽すぎんだろ」


ジョージが横から覗き込み、肩を震わせた。


「いやー、さすがだね(笑)。努力を隠す秀才って一番性格悪いよ」


「隠してねぇよ。見せてねぇだけだ」


「同じだよ」


エドワードは成績表を奪い取り、じっと見つめたあと満足げに頷いた。


「やはり私の教育の成果だな」


「何も教わってねぇよ」


「回答の行間から、私の理屈が滲み出ている」


「気持ち悪ぃこと言うな!!」


「次回は三位を狙う」


「勝手に目標設定すんな!」


「最終的には一位だ」


「お前、自分の順位心配しろよ!!」


■ジョージの機密ログ(二月:模試と理不尽)

二月。模試結果返却日。

僕は見ていたよ。

サエキが四位だったことより、ハミルトン様が「なぜ一位ではない」

と本気で悔しがっていたことを。


サエキ。

君は雑で、騒がしくて、寝癖のまま現れるくせに、こういう時だけしれっと上位へ座る。

ずるい男だね。


ハミルトン様。

君の努力は学力向上へ向かうのに、君の執着はすべてサエキへ向かう。

だから君はいつまでも二位なんじゃないかな。


■ジョージ幕間(観測ログ:秀才二名編)

二月。掲示板前。


エドワード:

努力型・管理型秀才。サエキの順位に自分の順位以上の感情を揺さぶられている。重い。


拓海:

地頭型・本番型秀才。本人だけ順位に執着がなく、昼食のメニューしか考えていない。


ジョージ:

「面倒な秀才が二人いるだけだね(笑)」


(追記)

「やれやれw」

ジョージは、エドワードに


「お前の脳細胞をハミルトン・ネットワークへ接続すれば一位も可能だ」


と真顔で言われ、全力で逃げるサエキを激写した。


「ハミルトン様。君がどれだけ彼を管理しようとしても―」

「彼が一番高得点を出すのは、君の想定外に動いた時なんだよ(笑)」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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