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幕間 「嫉妬とは、対象を奪われることへの恐怖ではなく、対象との共有時間を他人に汚されることへの憤りである」という話

関係ないんだけど休みの日に昼寝して半日過ぎてしまう現象をなんとかしたい

【ハミルトン伯爵邸・エドワードの自室】


「……汚らわしい」


低く押し殺した声が、静まり返った室内に落ちた。


重厚な家具と、整えられすぎた空間。

暖炉の火は規則正しく揺れ、すべてが“正しくあるべき形”で維持されている。


その中心で。


エドワードは、長椅子に座ったまま、スマートフォンの画面を凝視していた。


動画を、一時停止する。


指先で戻す。

再生する。

また止める。

―コマ送り。


画面の中で、拓海が笑っている。


ロンドンの街角。

寮生たちと肩を組み、口を開けて、無防備に。


その隣で、誰かが何かを言う。

拓海が、それに応じて笑う。


「……」


エドワードの視線は、一切揺れない。


さらに別の動画。


見知らぬ女子留学生に話しかけられ、

拓海が妙に柔らかい表情で応じている。


「……それはいい」


ぽつりと呟く。


「一時的なエラーだ」


女という存在は、流動的だ。

その場限りの接触であり、関係は固定されない。


いずれ消える。

いずれ忘れる。

問題は、そこではない。


再び、画面を戻す。


再生。


男たち。


同じ制服。

同じ寮。

同じ時間を共有している存在。


肩を叩く。

笑い合う。

言葉を重ねる。


その“蓄積”が、許せなかった。


「……タクミ」


低く呼ぶ。


「なぜだ」


コマ送り。


「なぜ、その“名もなき寮生A”と」


停止。


「アイスクリームの味について」


再生。


「そんなにも……深く……」


一拍。


「予約(共感)している」


スマートフォンを握る手に、力がこもる。


男同士でポテトを奪い合い。

くだらないゲームの話で盛り上がり。

意味もなく肩を叩き合う。


それは、エドワードにとって。


最も許容しがたい領域だった。


「その腕……」


画面に映る、誰かの手。


「……その距離……」


笑い声。


「その、“サエキ”という呼称……」


低く、歪んだ声が漏れる。


「すべて」


一拍。


「私が予約した聖域を、泥足で踏み荒らす行為だ」


その瞬間。


エドワードは、長椅子から滑り落ちるように床へ崩れた。


絨毯に手をつき、呼吸を乱す。


「……父上……!!」


声が上ずる。


「今すぐ、あの寮の男たちを……」


一拍。


「全員、北極圏の寄宿舎へ予約(強制転校)させてください……!!」


間髪入れず、扉の向こうから声が返る。


「……黙って本を読めと言ったはずだ、エドワード」


冷徹な一言。


「……っ」


歯を食いしばる。

拳で、枕を叩きつける。


「……タクミ……!!」


息が荒い。


「今すぐ戻って……」


視線がスマートフォンに落ちる。


「その不純な友情の残滓を……」


低く、確信に満ちた声。


「私の、最高級の手段で」


一拍。


「すべて、浄化(予約キャンセル)してやる……」


その言葉は、もはや怒りではなかった。


執行の宣言だった。


■ジョージ幕間(文章寄り)


「……はは、なるほど」


ジョージは、ロンドンの街角でスマートフォンを見ながら、小さく笑った。


「やっぱりそこなんだ」


画面には、返信。


長文。


一部、検閲必須。


「女はスルーで」


肩をすくめる。


「男で爆発」


軽く吹き出す。


「サエキ、君さ」


視線を上げる。


少し先。


拓海は、また誰かと笑っている。


「完全に踏み抜いてるよ」


一拍。


「一番触っちゃいけない地雷」


スマートフォンをポケットにしまう。


「エドワード様が嫌ってるのってさ」


軽く首を傾げる。


「奪われることじゃないんだよね」


さらに一拍。


「“一緒に過ごした時間を、他人と共有されること”」


口元が歪む。


「そりゃ怒るわ」


小さく笑う。


「だってあの人」


視線を遠くへ向ける。


「“タクミとの時間”、全部コレクションしてるタイプだし」


■締め一言(そのまま強い)


「サエキ、君の周りの男子」


一拍。


「……夏までに、消えるかもね(笑)」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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