表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/392

幕間(オマケ) 「観測とは、繰り返し発見されることで、逆に現在へと接続される」という話

まぁうん、こんな未来があるかも的な?

ハミルトン邸、書庫。


整理された資料の一角。

だが、その中にだけ、明らかに“何度も掘り返された形跡”のある箱があった。


「……また、これですね」


悠馬が、静かにノートを取り上げる。


「うわ、出た」


ノアが即座に反応する。


「“サエキ事変ノート”。何回目だよこれ」


悠馬が、少し考える。


「……五回目。いえ、六回目かもしれませんね」


「そんな見つける?」


「意図的に隠されていないのかもしれません」


「いや逆に怖いって、それ」


ノアがノートを奪い取るように開く。


数秒。


「……っ、はは……」


吹き出す。


「やっぱ無理これ。“バニラアイス・パッチ適用、対象死亡寸前”って、何回見ても笑うんだけど」


「記録としては正確なのでしょうね」


「父さん何されてたのほんと」


ページをめくる。


「“ハミルトン、Wi-Fi化に成功”……いや、意味わかんないってこれ」


「当時の比喩表現でしょう」


「センスどうなってんのこの人」


笑いながら、さらに読み進める。


「“サエキ、精神的に詰み”……いや、言い方が容赦なさすぎる」


「簡潔で分かりやすいですね」


「冷静に評価しないで」


ひとしきり笑って。


ノアが、ふと手を止める。


「……でさ」


「はい」


「これ、前も言ったけど」


一拍。


「“ジョージ”って誰?」


悠馬は、ノートに視線を落とす。


「……記録者の特定は、未だにできていません」


「だよね」


「拓海父さんの同級生である可能性が高い、という推測止まりです」


「でもさ」


ノアが、少しだけ真顔になる。


「こんだけ近くにいて、この情報量で、名前残ってないの……普通におかしくない?」


「ええ」


即答。


「極めて不自然です」


沈黙。


「……前も、ここで止めたよね」


「はい。深入りは避けるべきと判断しました」


「で、また見つけた、と」


「ええ」


ノアが、小さく息を吐く。


「……さすがにさ」


一拍。


「六回目は、無視できなくない?」


悠馬は、少しだけ考える。


「……同意します」


静かに。


「今回に限り、確認を行いましょう」


「よしきた」


ノアが端末を取り出す。


「軽くだけね」


「お願いします」


検索。


「……やっぱ出ない」


「想定内です」


「でも」


ノアの指が止まる。


「……アクセスログある」


「内容は」


「このノートの内容、外から参照されてる」


悠馬の視線が、わずかに鋭くなる。


「……どのレベルですか」


「こっちから見えない権限」


沈黙。


「……続けてください」


さらに潜る。


一段。


二段。


三段。


「……」


手が止まる。


「ノア?」


「……これ」


画面を、ゆっくり回す。


そこに表示されていたのは――


MI6


所属職員データ。


その中の一人。


「……ジョージ」


沈黙。


「……は?」


ノアが、素で声を漏らす。


「なんで国家機関にいんの、この実況者」


「不明です」


悠馬は、静かに答える。


「ですが」


一拍。


「これで、これまでの不自然さは説明可能です」


「いや納得したくないんだけど」


ノアが顔をしかめる。


「……これさ」


一拍。


「前から、見られてたってこと?」


その瞬間。


画面の隅に、小さなログが表示される。


“閲覧:確認済み”


沈黙。


「……うわ」


ノアが、ゆっくり呟く。


「タイミング最悪すぎない?」


悠馬は、静かに結論を出す。


「……この人物には」


一拍。


「関与しない方が賢明です」


「いやもう遅くない?」


「遅いですね」


どこかで。


ポップコーンが弾ける音がした気がした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ