幕間 「存在とは、観測されることで確定するはずだが、観測していなくても常に存在する個体がいる」という話
所謂ストーカー?
ジョージの秘密記録:
【サエキ事変・量子常在観測編】
本日、一つの恐ろしい仮説が立証された。
ハミルトン卿は移動しているのではない。
―彼は、サエキ拓海の周囲という空間そのものに“常駐”している。
08:10 寮・食堂
サエキ、寝癖を直しながらトーストを焼く。
焼き上がり、パンを取り出す。
振り返る。
ハミルトン、いる。
(※この時間、彼は別棟で高度数学の授業中のはず)
(※確認済み)
(※それでもパンの横にいる)
10:35 教室前廊下
サエキ、ノートを落とす。
拾う。
最後の一枚を掴む。
顔を上げる。
ハミルトン、いる。
(※別学年の講義中)
(※しかも、サエキが落とす前からそこにいた可能性が高い)
12:20 中庭のベンチ
サエキ、昼食。
一口。二口。三口。
視線を感じて顔を上げる。
ハミルトン、いる。
(※木の影。逆光)
(※視線だけが異様に明確)
13:55 図書室奥
サエキ、本を抜く。
空いた隙間。
向こう側。
ハミルトン、いる。
(※隠れる気ゼロ)
(※本棚の一部として機能)
15:40 進路指導室前
サエキ、面談終了。
ドアを開ける。
廊下。
壁。
ハミルトン、いる。
(※待機状態)
(※ドア開放と同時に起動)
17:10 校庭・正門
サエキ、夕焼けの中を歩く。
逆光。
門の影。
ハミルトン、いる。
(※演出過多)
(※終幕感が強すぎる)
■結論:
エドワード・ハミルトンは移動していない。
サエキ拓海の「観測可能範囲」に、常時配置されている。
これは移動ではなく、
・量子的重ね合わせ
・または“サエキ専用常駐システム”
のいずれかである可能性が高い。
■補足:
サエキ本人に確認。
「……なんで、どこにでもいんだよ、お前」
回答:
「知らねぇよ。……気づいたら視界の端にいんだよ、アイツ」
(※被害者の認識、崩壊寸前)
ハミルトンに同様の質問を実施。
回答:
「必要だから、そこにいるだけだ。……タクミの全座標は、私の存在意義と同期している」
(※ストーカー理論、宇宙規模へ到達)
■最終追記:
サエキ、完全ランダム行動を試行。
結果:3分後。
ハミルトン、出現。
「タクミ」
「……なんでいるんだよ。今、自分でも行き先決めてなかったんだぞ」
「必要だった」
一拍。
「お前が現在地を見失う前に、私が『北極星』として出現するのは必然だ」
「意味わかんねぇよ!! 北極星は動かねぇだろ、ついてくんな!!」
観測終了。
(※ハミルトンは北極星ではなく、サエキ専用GPS(物理)である)
ここまで読んでいただきありがとうございます。
悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。
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この話もゆるく続いていく予定なので、
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