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赤い雫が床に落ちる。女性の手は力を失い、脚の横に垂れ落ちた。口は赤く染まっている。目は茶色に戻り、瞳孔は開き、眼窩には涙が満ちていく。
「スレイディ……」
彼は彼女の前にいた。手は彼女の胸の中にある。顔は血で覆われ、眼帯を失った目を隠している。表情は空虚だった。
彼女の体は彼の胸にもたれかかり、両手で彼の肩をつかみ、顔を彼の首元に埋めた。
「スレイディ……私、何をしたの?」
「何も……何もしていない」
彼は彼女を支え、顔を上げさせて見つめた。女性の唇にかすかな笑みが浮かぶが、すぐに嗚咽に崩れた。
「本当のことを言って。私……乗っ取られたのよね?」
「……ああ。君は自分の夫を襲った。もう少しで殺すところだった。俺が引き離した。彼は無事だ……たぶん」
「神様……」
彼女は顔を彼の胸に押しつけ、喉の震える音が男の耳に響いた。シャツは涙で濡れていく。
「ごめんなさい。私……そんなつもりじゃ……」
「謝るな。俺が……俺が君をこうした。遅れたんだ」
「違う……私が弱かったの。もっと抗うべきだった。もっと……あの人たちはどうなったの? 兄妹は?」
「……」
「そんな……どうして……?」
抱きつく力が強くなるが、数秒後には弱まった。
「ごめんね、スレイディ……全部」
彼女は彼のそばに崩れ落ちた。静寂。何時間も続くかのような静寂。
……
……
「素晴らしい!」
拍手の音が高らかに響いた。
彼は振り返り、それを見た。裸の女性。秘部は影に覆われている。大きく笑い、鋭い歯を見せている。隣には男の姿。純粋な闇でできた鎧をまとい、白い目が影の中で彼を見つめ、決して逸らさない。
「ねえ、あの女、よく耐えたわ! でも残念ね! あの兄妹も、とても可愛かったのに、手をつないで、まるで運命を知っているみたいだった! あなたも準備はいい? これから起こることに、素敵な坊や?」
スレイディは拳を握り、超人的な速さで突進した。だが途中で影が地面から立ち上がり、彼の体を絡め取り、腕を拘束した。女は近づき、自由なまま彼の顔に触れ、唇が触れそうなほど近づいた。
「私はね……我慢してるの。この体、この存在……あなたは無駄にするには惜しすぎる。でも……行きなさい、兄さん」
彼女は体を横に向けた。すると男が剣の柄を彼の胸に当てた。衝撃が走る。スレイディの目が見開かれ、口から血が噴き出した。影は彼を解放し、彼は膝から崩れ落ち、そのまま前に倒れた。頭を上げようとするが、鎧の足が顔を地面に押しつけた。その存在は身をかがめ、低くささやいた。それはまるで頭の中に直接響く声だった。
「この真実と共に生きろ、人間」
彼が最後に見たのは、その存在の脚が上がり、振り下ろされる瞬間だった。その後、すべてが闇に沈んだ。
***
ニュースは淡々と、そして悲しげに伝えていた。レインタリヤは死亡。近くで一人の男が意識不明で発見された。兄妹、ナターシャとジョンヒェは死亡。そしてコンプレクシティの狩人、最後の生存者ライザー・ファイナーは生存しているが重体。
その同じニュースを、病院のベッドに横たわるライザーも聞いていた。体は動かず、呼吸は途切れがち。涙が目から流れ、悲しみに身を委ねようとするが、表情を動かすたびにうめき声が漏れる。
突然、扉が開いた。温かな笑顔の看護師が入ってきて、腰の前で手をそろえ、軽く頭を下げた。
「おはようございます。お見舞いの方がいらしています。よろしいですか?」
彼はゆっくりとうなずいた。
看護師は下がり、彼が入ってきた。スレイディ。片目は白い包帯で覆われている。彼はベッドのそばに座り、しばらく沈黙した。口を開き、息を整えて言った。
「俺は……俺は……ごめん、いや……申し訳ない、ライザー。遅れたんだ、別の地獄にいて……いや、そんなこと言う資格はない……謝る資格なんて……」
その時、手に力が加わった。彼は視線を落とした。ライザーの普通の手が彼を握っていた。年老いた男は小さくうなずき、涙をさらにあふれさせながら震える手で彼を握る。もう一方の手で彼の腕を引き、苦しげにうめきながらも抱きしめた。スレイディは固まったまま、目を半ば見開き、体を震わせていた。しかし徐々に力を抜いていった。それでも完全に緊張が解けることはなかった。
***
屋敷の前で、スレイディはしばらく隣のワイン畑を眺めた。風に揺れている。それから木の扉を叩いた。使用人の少女が開け、彼だと分かるとすぐに抱きついた。
「スレイディ! 生きててよかった!」
彼女の爪が彼に食い込み、息が彼にかかる。
「どれだけ怖かったか分からないでしょう! エリサはずっと泣いてたし、空には悪魔が飛んでて! 生き残れるか分からなかった!」
「君は生きている。それで十分だ」
彼は彼女の頭に手を置いた。しばらくして少女は離れ、彼の手をしっかり握った。
「ニュース見たよ……ライザーがどうなってるか想像もつかない。レインタリヤも、あの二人も……いい人たちだったのに」
スレイディは何も言わず、ただ聞いていた。しかし視線は虚空をさまよい、彼女の声は次第に遠くなる。やがて彼は頭を振り、唐突に言った。
「シャワーを浴びて帰れ。両親が待っているはずだ」
「え……どうして両親が無事だって分かるの?」
「分からない。ただ……そう言っただけだ」
「そう……じゃあ帰るね」
彼女はゆっくりと浴室へ向かい、足を引きずるように進んだ。スレイディは廊下を進み、ある部屋に入った。エリサは静かに眠っていた。小さな毛布に包まれている。彼はゆっくりと揺りかごを揺らし、片目で彼女を見つめた。
時間が過ぎた。少女は普段着に着替え、彼を見た。ドア枠に手を置いている。
「手伝うことある?」
「ない。ただ……話がある」
「何?」
スレイディは振り返り、腕を後ろに組んだ。彼女の前まで歩き、顔を近づけた。
「ここには戻るな。二度と」
「え……どうして……?」
「繰り返さない。自分の人生を生きろ。いい仕事を見つけろ。でもここには戻るな。俺やライザーのような人間とは関わるな」
「あなた……」
彼女は一瞬エリサを見た。胸が締めつけられる。
「私、この子に血をあげたのよあの日。両親が死ぬかもって怖かったのに、あなたはほとんど無傷で戻ってきて、その隠したままの目だけで、私を追い出すの?」
スレイディは答えなかった。背を向け、揺りかごの方へ歩いた。少女は歯を食いしばり、言った。
「あなた……最低。あの人たちの死なんてどうでもいいんでしょ。あなたは……あなたは……怪物よ」
彼女は足音を鳴らして屋敷を出た。遠くから泣き声が聞こえる。スレイディは機械の手で揺りかごの木を握りつぶした。
***
「スレイディ、聞いていたか?」
彼は回想から引き戻された。膝の上を見る。エリサが胸に寄り添って眠っている。前にはライザー。膝の前で手を組み、かすれた声で話す。
「もう一度言ってくれ」
「……俺の心臓にレンカイのエネルギーがあると言われた。デストロイヤーにはならないが、腐食していく……いや、弱らせていく。いずれ、どんな負荷でも死につながる。頼みがある。俺が死んだら、エリサを引き取ってくれ」
「ああ……分かった……できる」
***
平手打ちで現実に引き戻された。エリサはまだ彼にもたれている。ただ、少し成長している。ライザーは微笑み、静かに言った。
「今、完全に意識が飛んでたな、スレイディ。どうした?」
「いや……何でもない」




