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覚悟なら

過去を話してしばらく経ってからのこと、あの翌日からも変わることない過保護なくらい重く、とろけるような甘い愛情表現を受けている。


「桔梗」


「緋桐さ……」


緋桐様の声が聴こえてそっちの方を向くと自然な動作で私の唇を奪われる。この不意打ちは変わらないけどどんどん慣れてきてしまった気がするけど、まだ胸が高鳴りはする。というか好きな人にこんなことされて胸が高鳴らない女性はまずいないと思う。


「緋桐様……いつも突然はやめてくださいと……」


「なんだよ、じゃあ宣言したらいいのか?」


私を抱きしめてそう言う緋桐様。そういう問題でもないのですが……。それにしても最近は不意打ちでの行動が増えている気がする。私からはそんなに愛情表現出来てないけど緋桐様ほどの甘い愛情表現も出来る気がしない。


「できるのであればもう少し雰囲気とかを……」


「そんなん毎回作るの面倒だわ」


いやいや……面倒がらないでもらいたい……。できることなら少しは気にしてもらいたいんだけどなぁ。


「それにこういう不意打ちなんていつものことだし、桔梗も嫌がる素振りないってことは嫌じゃないってことだと俺様は思ってるんだけど?」


うっ……、否定できないのが悔しい……。そりゃ嫌じゃないけど……。でもこの愛情表現のせいかは分からないけど、もうそろそろ緋桐様に手を出されても……と思うようになってきた。ただ恥ずかしくて中々言い出せないけど、緋桐様は不意打ちで唇を奪ってきたりはするけどそれ以上はして来ない。緋桐様も実際は私に……と思ってるだろうし。なら、頑張るのは私だ。


「あ、あのっ!緋桐様!」


「ん?どうした?」


首を傾げてきょとんとした顔で言ってくる緋桐様。

こういう時の緋桐様はつい可愛いとか思ってしまう……。分かってるけど私もかなり重症だなぁ。とか思っている場合じゃない。


「その……私もうそろそろ大丈夫かな……と」


やっぱり言うのは恥ずかしくて、目をそらして私は告げる。顔が熱い……。少し経つが緋桐様はなにも言わない。不思議に思いちらっと緋桐様の顔を見ると、固まっている。


「あ、あの?緋桐様……?」


「……はっ!悪い……突然のことで固まっちまったわ……本当か?」


私に真剣な顔をして聞いてくるけど、こんな恥ずかしいこと冗談で言うわけないし言えない。私はまた目をそらしてこくりと小さく頷く。


「……ありがとう……すっげぇ嬉しい」


私を優しく抱きしめて私の額に緋桐様の唇が触れる。

その一言でも行動で声色で相当喜んでくれていることが分かる。そしてその夜のこと、お風呂からあがり、髪を乾かす。自分で言い出したことながらいざとなると緊張で息が……というか口から心臓出そう……。

胸に手を当てると鼓動が大きく速い。それは当たり前だよなぁ……。男性とお付き合いしたこともなければその行為をしたこともない。それにあんなに喜んでくれたのだし、かなり待たせてしまったし………。そして覚悟を決めて控えめに緋桐様の部屋の扉を叩く。


「あ、ああ、入れ」


緋桐様も、少しは緊張してるような声……。そういえばもう100年は人間の話を聴いていない的なことを言ってたし……こういうことは久しぶりなのかのしれない……。久しぶりならば確かに緊張するかもしれない。私がゆっくり扉を開けると、少しそわそわしてる緋桐様。やっぱり緊張している……。


「こっち座れ」


そう言われて私は緋桐様の隣に腰掛ける。分かってるしベッドの上に座るのも初めてじゃないけど、やっぱり少し意識してしまう。


「本当にいいのか?怖いとかあったら……」


確かに少し怖いという気持ちはある。でも……それでも私は、言った手前これ以上待たせたくはない。


「少し怖いですけど……でも、緋桐様なら……」


そう言うと私のことを強く抱きしめられる。少し私よりも体温が低い緋桐様の肌の温度を感じる。


「あんまり可愛いこと言うな……初めては優しくしてやりたいんだよ……」


それは後々は激しくなるということだろうか……そう考えると恥ずかしくなる……。そ思っているとゆっくりと押し倒される。気がつくと私の目に映るのは緋桐様と部屋の天井……。緋桐様の金色の瞳が私のことを真っ直ぐに見つめている。


「多分……いや、絶対止まんないけど許してくれるか?優しくするから」


「……はい」


私は小さくだがしっかりとそう答える。許さないどころか、怒るわけないのに……。私だって緋桐様のことを愛しているのだから。緋桐様を見つめると瞳はまるで獲物を捕らえた蛇のようだった。その瞳にすら胸が高鳴ってしまう。緋桐様は私に覆い被さって来る。

ベッドがギシッと軋む音がする。


「桔梗……桔梗……」


緋桐様の息が荒い。私が怖がらないようにゆっくりしてくれようとしてるのが分かるけど……本当は今すぐにでも食らいつきたいほどなんじゃ……。私は意を決して緋桐様の唇に自分の唇を重ねる。


「緋桐様……私の身も心も私の全てあなたのものです……愛してます……」


「桔梗っ!愛してるっ!」


その言葉のすぐさま後に激しく唇を奪われた。その後は、私達2人だけの世界で愛し合った。

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