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R15 終末世界で、執事は僕を調律する。~人外執事×傲慢坊ちゃま~  作者: 島田まかろん三世
第五章

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辿る

 空が高い。


 紅葉が始まっている。

 燃え盛るような赤と、枯れたような黄色。

 そして、鉄バクテリアの残骸のような、青い蔦。


 その鮮やかさが、コンクリートの高く分厚い壁に囲まれた無機質な景色の中で、死化粧のように浮き立っていた。


 奥多摩の研究施設。

 僕は子供の頃、一度ここを訪れている――らしい。

 幼すぎた記憶は、へどろが堆積した湖の底のように濁って、あまり覚えてはいない。


 門の前には、軍の施設で見るような、遮断機と、待機所。

 僕たちの姿を認めた瞬間、警備兵が冷徹な動作で銃を構えた。


「止まれ! それ以上近づけば、射殺する!!」


 僕はごくりと喉を鳴らした。

 ここに来る前に、久世が僕に言った言葉を思い出す。


『そうなったら、私はもう、坊ちゃまを護れません』


 久世は何かを隠している。その答えが、ここに在る。

 久世が、僕を護らなくなっても。ここにはパパがいる。


 僕は叫んだ。


「僕は、御子柴怜央みこしばれおだ!! 父に会いに来た――!!」


 警備兵が、構えた銃のわきから、僕を見た。

 数秒。

 いや、もっと長い時間だったかもしれない。


 風が、僕の頬を撫でた。

 ポチが、不安そうに鼻を鳴らす。

 背後に立つ久世からは、気配すら感じられない。まるで久世の姿だけが、この風景から切り抜かれた影に、変わってしまったかのようだった。


 ジジッ……という、無線のノイズ。


「――門を開けろ」


 押し殺したような声が、待機所のスピーカーから漏れ聞こえた。


 ギィィ……と、油の切れた重い金属音が、静寂を切り裂く。

 門がゆっくりと、天を仰ぐように持ち上がった。


 大きな口が、開くように。


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