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R15 終末世界で、執事は僕を調律する。~人外執事×傲慢坊ちゃま~  作者: 島田まかろん三世
第三章

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 きっと、そうだ。支配されたときと、僕の鼓動が不規則な熱で満たされたときに、これが起きるのかもしれない。


 恐らく――いや絶対だ。僕の左目から、青い花が咲いている。


 動けなくなった僕のチノクロス・パンツ(チノパン)をわざわざいて、右の内腿に、ナイフの切っ先を向ける久世の目は、黒い。


 爬虫類の縦瞳孔などではない。暗い情念を湛えた、人間の、真っ黒な瞳だ。

 その目が、僕の壊れていく様を冷酷に、そして愛おしそうに記録している。


 鋭い痛みが脳天を突き抜けた。


 そこに、爬虫類のそれ――ではなく、人の厚い舌が、充てられた。

 何度も何度も、腿を、這い上がってくる。

 それから、腹と胸と、首筋。最後に唇を塞がれた。


 僕の脳漿は沸騰し、思考は形を失った。


「カナト……」


 僕の口が、勝手に久世をそう呼んだ。


「カナト、カナト……っ」


 けれどこれは、心地いい。

 その名前を呼ぶたびに、僕の中で、「なにものか」を名付けていた器がひび割れ、中からドロドロとした黒い蜜が溢れ出す。


 カナトが、僕の指に、絹のような滑らかな指を、絡めた。


「怜央様……」


 低い声。唇が離れるたび、求めるように名を呼ぶ。

 おかしくなりそうだ。


 いっそのこと、おかしくなりたい。

 いや、既におかしいのか。

 どうだっていい。


 けれどどうせなら、狂った方が、きっと早い。

 そうだ。世界は終わっている。

 僕は別に、「御子柴みこしば」じゃなくてもいいんだ。


 カナトが体を、僕に擦りつける。

 脚を、割って――鍛え上げられて、引き締まった体で、僕を。


 その時、「調律」が終わった。

 僕は、僕を見下ろす。我に返ったのだ。


 僕は咄嗟に久世を押しのけて、上半身を起こした。


 覚えている。


 なんだあの――『真っ黒な』泥は。

 僕の中に、あんなものがあったのか。


 そう思ったら、僕は泣いていた。

 両手で、顔を覆って、背中を丸めて、僕は、声を殺して泣いた。


 僕の頬をベロンと舐めたのは、ポチだ。


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