武装
冗談じゃない。
やっと地上の空気を吸ったところだ。
投光器の白光。
眩し過ぎて、僕は顔を逸らした。網膜が焼け付くようだ。
その光は、感情を一切無視して、事実だけを浮かび上げる。
解剖台を照らすような、それよりももっと強く、無機質な光だった。
「止まれ――!」
僕に命令していいのは、パパだけだ。
今更ながら、世界にはこんなにも慇懃無礼な輩がいることに、僕は驚いている。
手を翳して見た、投光器の向こう――暗闇の中に、武装した集団がいた。
僕はポチから降り、両手を上げた。
そうしろと言われたからだ。僕のプライドはズタボロだ。仕方ないだろう。ライフル銃の銃口が、この僕に向けられているんだ。こういう輩は、下手に刺激してはいけない。
「袖をめくってこっちに見せろ!」
きっと彼らは、侵食の印が僕にあるのか、知りたいのだ。
僕の腕や首にあるこれは、久世に付けられたものであって、「青い奴ら」にやられたわけじゃない。けど、似ているのは確かだ……。
誤解されるのは厄介だ。
僕は叫んだ。
「僕は人だ……! 化け物じゃない!!」
「関係ない! 動くな!」
銃口が、さらに近づく。
御子柴の名を出そうと、僕はまた口を開いた。
「――っ」
『バチバチッ』と、背後で音がしたのと同時に、僕の体が跳ねた。
白い閃光が視界を焼く。
数万ボルトの電流が脊髄を駆け抜け、思考が真っ白な火花に変わる。呼吸ができない。内臓がひっくり返るような嘔気がこみ上げ、全身の筋肉が僕の意志を無視して硬直する。
僕はその場に倒れた。
冷たい地面に頬を打ち付けた衝撃さえ、どこか遠い世界の出来事のように感じられた。
僕は見た――意識のない久世が、誰かの手で、乱暴に馬から引きずり降ろされている。
――やめろ!! 触るな!! それは僕のだ!!
声は出ない。
最後に見たのは、スパークするスタンガンを手にした、覆面の――。




