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感情を知らない王女は、ヤンデレ魔導師に囲われる ――共依存の果てのしあわせ  作者: ゆにみ


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17/20

17、あなたは誰ですか?

 翌朝、目を覚ますと、私はルークの腕の中にいた。


 その温もりを認識した瞬間、どくん、と一度大きく跳ねた。

 それだけで胸の奥が熱くなり、呼吸が苦しくなる。


 (もう、また心臓がうるさい......!)


 たまにこうして、朝になると抱きしめられていることがある。

 ルークは決まって、照れくさそうに「無意識だった、ごめん」と謝る。

 それが、いつもの朝。

 変わらない、穏やかな日常のはず。


 なのに今日は、胸の奥がどうしようもなくうるさい。

 息が詰まるほどに、心臓が暴れて止まらない。


 やっぱり――これが“恋”というものなのかな。


 恋がどういうものか、ちゃんとは知らない。本で読んだだけ。

 でも、ルークを想うこの気持ちがそれなら、私はきっともう恋をしているのだと思う。


 ふと、ルークが腕が微かに動いた。

 ゆっくりとまぶたを開き、寝ぼけた声で言った。


 「……あ、ごめん。リシェル、また抱きしめてたみたいだ」


 耳元で囁かれるその声に、ぶわっと熱が広がる。


 心臓が、さらに大きく跳ねた。


 なのにルークは気づかず、いつものように穏やかに微笑む。


 (……ずるい)


 どうしてそんな顔、するの。


 いつもより――ずっと、かっこよく見える。


 「う、ううん……! 大丈夫……!」


 慌てて首を振る。


 「ルークに抱きしめられると……安心するの」


 「……そうか」


 ルークはやさしく目を細めて、小さく笑った。


 「ありがとう」


 それだけなのに。


 胸がいっぱいになって、息が詰まりそうになる。


 (……だめだよ、これ)


 こんなに苦しいのに。


 どうして、離れたいなんて思えないんだろう。


 むしろ――


 もっと、この腕の中にいたい。



 ***


 その日も、ルークは仕事へ出かけた。

 家の中は静かで、私はいつものように一人で過ごしていた。


 昼下がり、窓辺から微かな物音が聞こえる。


 (あ、ブランかな?)


 そう思って立ち上がり、窓辺に視線を移した。

 だけど、そこにいたのはブランじゃなかった。


 窓の向こうに立っていたのは、白い髪に金の瞳を持つ、ルークと同じくらいの年に見える男の人。

 冷たい冬の光を反射するような白い髪が、風にわずかに揺れた。

 柔らかく笑ってはいるけれど、その眼差しはどこか鋭く見えた。


 (……だ、誰?)


 男の人は無言で、ただじっと私を見つめている。

 私は恐る恐る窓辺に近づく。

 大丈夫――この家にはルークの結界がある。

 私とブラン以外は入れないはず。


 だから大丈夫......危険なことは起きない.......。


 不安を紛らわせるように、ルークからもらった指輪を、無意識にそっと撫でた。


 「……あなたは誰ですか?」


 震える声で問うと、男の人は少し困ったように微笑んだ。


 「俺はシリル。ルークの同僚なんだ」


 目があった瞬間、胸の奥がざわざわとした。

 どこかで見たことがあるような、金色の瞳。

 でも、私はルークの家に来てから、誰にもあったことがない。でもなんでだろう......。


 (……この人、知ってる気がする......?)


 気づけば、私は窓を少しだけ開けていた。

 途端に、かすかに知っている匂いが鼻をくすぐる。


 えっ? もしかして――。


 「あなたは、ブラン……?」


 その瞬間、男の人はくすりと笑った。


 「ふふ、正解」


 少しだけ、嬉しそうに。


 「改めて――俺はシリル。よろしくね、リシェルちゃん」


 その笑みを見たとき。


 なぜか、胸の奥がざわついた。


 ルーク以外のことで、世界が動きはじめた――そんな瞬間だった。

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