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感情を知らない王女は、ヤンデレ魔導師に囲われる ――共依存の果てのしあわせ  作者: ゆにみ


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16/20

16、”恋”とは?

 結局その日は、ルークの様子はずっとどこかおかしかった。

 夜がすっかり更けて、寝る時間になっても、胸の奥に小さな不安が残っていた。


 ルークと私は、いつものように同じベッドで眠る。

 この小さな家にはベッドがひとつしかない。

 だから、夜になると自然と同じ布団に潜り込むのが日課だった。


 いつもなら、ルークが優しく私を抱きしめてくれる。

 おやすみの“ぎゅっ”――それが私の安心の合図。

 その温もりに包まれると、私は朝までぐっすり眠れる。

 ……いつもなら。


 でも、その夜は違った。


 抱きしめられた瞬間、心臓が突然早く動き出す。

 いつもと同じ腕の温もりなのに――どうして?


 どくん、どくん、どくん。


 息がうまくできない。

 胸の奥で、感じたことのない熱がじわじわと広がっていく。

 まるで知らない誰かの心臓が、自分の中で暴れているみたい。


 驚いて顔を上げると、息が止まった。

 ルークと、目が合ってしまったのだ。


 その瞬間、全身が熱くなる。

 頬が燃えるように熱くて、指先までじんじんする。


 (えっ……わたし、どうしちゃったの……?)


 ルークが心配そうに私を覗き込んだ。


 「リシェル、どうしたんだ?」


 「な、なんでもないっ……!」


 声が裏返る。恥ずかしくて、目を合わせられない。

 今まで何度もこうして抱きしめられてきたのに――

 どうして今日は、こんなにも胸が苦しいの?


 だけど、嫌じゃない。

 苦しいのに、逃げたいなんて思わない。

 むしろ、もっとこの腕の中にいたいと思ってしまう。


 (どうして、こんな気持ちになるんだろう……?)


 ふと、前に読んだ絵本のことを思い出す。

 お姫様と王子様が見つめ合って、心が通じ合う物語。

 そのときは、お姫様と王子様の気持ちはよくわからなかった。

 ただ、しあわせそうだなって、それだけだった。


 でも今なら、少しわかる気がする。


 胸の奥で響く、この音の意味が。


 その時、ルークの指先が、そっと私の背を撫でた。

 びくり、と身体が震える。

 胸の奥で何かが弾けて、全身が甘く痺れた。


 (なんで……ルークのことで、こんなに……)


 ああ、もしかして――

 

 (これが......恋?)


 静かな夜の中、自分の鼓動だけがやけに大きく響く。

 落ち着かせたくて、ルークの胸に顔を埋めた。

 大好きな匂いが鼻いっぱいに広がる。


 (あったかい......)


 苦しいのに......安心する。ううん――しあわせ。


 私の世界は、もうルークがいないと動かない。


 ルークに抱きしめられたこの日、私は――恋を知った。

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