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第49話:最後の会話。
夜。
今日も屋台は賑わっていた。
「はい。今日のおすすめです」
俺は、常連客に、今日のおすすめ――白身魚の三点盛り――を差し出した。
続いて、一見さんに、先代直伝の煮込みを提供する。
「美味しい」と一見さんは呟いた。
常連客と一見さんが席を立った。
時間の間もなく、次の客がやってきた。
「……今日は、ビールと……白身魚のフライを貰おうかな」
「はい。ビールと、白身魚のフライですね。少々お待ちを」
俺は、フライの準備をする。
「お待たせしました。白身魚のフライです」
そう言って、肴をお客さんに差し出す。お客さんは、気持ちよさそうに、ビールを一本空けていた。
今日も、忙しい日だった。
心地良い空気がそこにあった。俺自身も、心地良い時間だった。
そんな時。
「……随分と、気楽な商売をしているな……」
暖簾が上がると同時に、そんな言葉が飛び込んできた。
その声の主は、俺の弟――あのホテルの社長――だった。
次回予告:
弟の恨み節が、俺の耳に届く。
だが、それは、全て、弟の自業自得だった。




