第24話:屋台に、行列ができた。
「すいませーん、開店まだですかぁ?」若者の声が聞こえた。
「今、開店準備中です。すいませんが、あと一時間ほどかかります」
俺は若者に声をかけた。
「わかりましたー、またきまーす」
最近、若者の客が増えた。理由はよくわからない。こんな路地裏の屋台に若者がわざわざ来る理由があるだろうか?
開店前に来ては、開店時間を聞く。ネットに情報を載せてないからだろう。直接問い合わせに来る人が多くなった。
「……なんか、ここ最近、繁盛してるね?」常連客の一人が呟いた。
「この屋台が儲かるのはいいことだけれども、俺たちが入れなくなるのは嫌だなぁ」
「何があったんでしょうねぇ?」俺は正直に答えた。俺自身、いまだに理由がよくわからなかった。
「できるだけ、常連さんには気持ちよく過ごせてもらえるように努めますんで」
そう言って、俺は、肴を常連客に差し出した。
俺たちの会話を聞いてか、隣の一見客が、口を開いた。
「え、知らないんですか?このお店、SNSでバズってるんですよ?」
そうして、その一見客が、スマホの画面をこちらに向けた。
「ほら。『都会の片隅にある、美味い肴を出す屋台』って、グルメ系インフルエンサが一推ししてます」
俺は、スマホの画面を覗き込んだ。
そこには、以前、この屋台を訪れた若者二人の顔と、その時出した白身魚のお造りの写真が載っていた。
「……あの二人の影響なのか……」
俺は、驚きを隠せなかった。
気がつくと、屋台の外に行列が出来ていた。その多くは若者だった。
俺は、今更ながらに、SNSの宣伝効果を思い知ったのだった。
次回予告:
SNS効果は収まらない。それは返って、屋台営業に混乱をもたらすのだった。




