第21話:弟の焦りが、隠せなくなってきた.
ホテルの社長室で、新社長は、怒りに震えていた。
報告した経理担当が、社長のその態度を前にして震えていた。
短期決算報告書。その数値が、ことごとく低下していたのだった。
――なぜだ。「無駄」を廃し、「効率」を上げたはずじゃないか。最初の二ヶ月は成果を出していたじゃないか。なぜ、半年で、こうも落ちるのだ!
訪問客の減少。ここ二ヶ月の減少が著しい。
レストランの利益率の低下。フードロスの比率も上がっていた。
SNS等のネットでの評判の低下。インフルエンサーの効果が響かなくなっていた。
結果としての、売り上げの低下。赤字ではないが、当初目標の「利益率二倍」には程遠かった。
不採算部門のコストをさらに削るか?いや、そんなことをしてはジリ貧になるだけだ。それは誰の目でも明らかだった。
現状のコストのままで、品質を上げる方向に、舵を切れないものか。
新社長は、資料に目を落とす。
「前は1万円払う価値があったけど、今はコンビニ飯に毛が生えた程度」
「スタッフがマニュアル通りすぎてロボットと話してるみたい」
「以前のような『心配り』が全く見られなくなった。利用する価値なし。コスパ悪すぎ」
辛辣なアンケート結果が、目に飛び込んできた。
「接客」と「レストラン」の評価低下が著しい。これは、ホテルにとって致命的である。ここへテコ入れするのが先決だろう。多少、コストがかかっても、この二つだけは立て直す必要がある。
新社長は、接客部門とレストラン責任者を呼び出すことにしたのだった。
次回予告:
元・婚約者の迷い。それは、期待しいていた未来との違いだった。




