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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第10章 高度洗脳社会はどこへ向かうのか――規制の波と、それでも残る問い

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規制は、根本的な解決にはならない

 ただし、楽観はできない。


 規制が広がることは、一定の意味がある。

 プラットフォームに設計の責任を問うことは、正しい方向だ。

 未成年をターゲットにした依存設計に、法的な歯止めをかけることには価値がある。


 しかし、SNSを禁止することが、必ずしもSNS依存そのものを解消するわけではない。  SNSによって満たされてきた承認欲求や交流の刺激は、別のデジタル手段へと移行する傾向がある。


 つまり、規制は「入口を閉める」ことはできる。

 だがしかし、人間の脳の性質そのものは変わらない。

 ドーパミンは期待に反応し続ける。間欠強化の構造は、どこにでも適用できる。承認の予感は、SNSが消えても別の形で現れる。


 しかも、規制が届きにくい問題がある。

 一つは、フィルターバブルだ。

 人が一度気にしたもの、立ち止まったもの、反応したものに近い情報を、アルゴリズムは繰り返し返してくる。


 似た考え、似た怒り、似た不安が重なると、人は偏った情報の中にいるという自覚がないまま、「何度も見た」「みんなそう言っている」という感覚を育てていく。

 事実が強いから信じるのではない。繰り返し目にしたから、現実味が増していく。


 これは一つのプラットフォームを規制しても、別のプラットフォームで同じことが起きる。


 もう一つは、ディープフェイクだ。

 映像や音声の偽装技術が危険なのは、単に偽物を本物らしく見せるからではない。


 人がすでに信じかけていた物語に、「証拠らしいもの」を与えてしまうからだ。

 人は証拠を見て信じるのではない。

 信じたい話に映像や音声が与えられたとき、一気に確信へ滑り落ちる。


 フィルターバブルもディープフェイクも、法律で入口を閉じることはできない。

 なぜなら、利用しているのは人間の脳の性質そのものだからだ。

 だから、規制は必要だが、それだけでは足りない。


 規制の外側で、一人ひとりが持つ知識と実践が、最後の防衛線になる。

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