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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第9章 それでも、自分で選ぶために――実存としての自由

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今この瞬間に、少しだけフォーカスできている

 数ヶ月前の自分と今の自分は、少し違う。


 他者との比較で不安を覚えることが、以前より減った。

 SNSを開くとき、誰かと比べるためではなく、「何か最新の情報があるかもしれない」という期待で開いている。 幻想かもしれない。でも、動機が変わった。


 ジャーナリングとシャドウワークで自分の反応パターンを見てきた。

 生成AIにヒアリングを依頼し、感情を言語化してきた。


 アドラーの目的論を一度拒否し、時間をかけて再解釈した。仏教が説く「感情は波であり、意識とは別のものだ」という視点は、今も自分の実感として残っている。

 それらが積み重なって、今この瞬間に少しだけフォーカスできている、という感覚がある。


 凪のような無の境地ではない。不安も来る。揺れる日もある。

 ただ、今日という一日の中に、少し根を張れている感じがする。

 これで完成、という訳ではない。また崩れる日も来るだろう。補助具を使い直す日も来る。それでも今は、ここにいる。


 そしてこの感覚は、特別な人間にだけ訪れるものではないと思っている。

 ブレインハックの構造を知り、自分が反応しやすい場所を知り、少しずつ条件を変えていく。崩れたときに責めるのではなく、戻る仕組みを持っておく。


 思想や哲学を妄信するのではなく、自分に合った形に取り入れていく。

 その積み重ねの先に、今この瞬間へのフォーカスがある。

 選ばされる社会で、それでも自分で選ぶとは、遠い理想ではない。


 今この瞬間に、少しだけ根を張れていること。 それだけで、もう始まっている。

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