変容を肯定すること
ニーチェの哲学で印象に残っているフレーズがある。
「神は死んだ」
これは単なる無神論の宣言ではない。
かつて人々が寄りかかっていた絶対的な価値観や権威が、もう機能しなくなったという宣告だ。
そして、その後にニーチェが問うたのは、では人間はどこに向かうのか、ということだった。
権威が死んだ後の世界で、人間は二つの方向に分かれる。
一つは、ニーチェが「ルサンチマン」と呼んだ方向だ。
自分より強いものへの嫉妬と怨恨を内側に溜め込み、それを「道徳」や「正義」に変換して、相手を引き下ろそうとする。
SNSで他人の成功を見て落ち込む。あの人だけずるい、と思う。自分が動けない理由を、環境や他人のせいにし続ける。これはルサンチマンの現代的な形だ。
もう一つは、変容を肯定する方向だ。
今の自分が全てではない。変わり続けることを恐れない。崩れても、また形を作り直す。
ニーチェが肯定したのは、この方向だった。
本編を通じて言ってきたことも、結局ここにつながる。
ブレインハックに反応してしまう自分を、ルサンチマンで終わらせない。
環境が強すぎると知ったうえで、それでも自分の側を変えていく。
崩れることを前提にして、戻り続ける。
それは弱さではない。変容を肯定する、ということだ。




