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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第9章 それでも、自分で選ぶために――実存としての自由

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変容を肯定すること

 ニーチェの哲学で印象に残っているフレーズがある。


「神は死んだ」


 これは単なる無神論の宣言ではない。

 かつて人々が寄りかかっていた絶対的な価値観や権威が、もう機能しなくなったという宣告だ。


 そして、その後にニーチェが問うたのは、では人間はどこに向かうのか、ということだった。

 権威が死んだ後の世界で、人間は二つの方向に分かれる。


 一つは、ニーチェが「ルサンチマン」と呼んだ方向だ。

 自分より強いものへの嫉妬と怨恨を内側に溜め込み、それを「道徳」や「正義」に変換して、相手を引き下ろそうとする。


 SNSで他人の成功を見て落ち込む。あの人だけずるい、と思う。自分が動けない理由を、環境や他人のせいにし続ける。これはルサンチマンの現代的な形だ。


 もう一つは、変容を肯定する方向だ。

 今の自分が全てではない。変わり続けることを恐れない。崩れても、また形を作り直す。

 ニーチェが肯定したのは、この方向だった。


 本編を通じて言ってきたことも、結局ここにつながる。

 ブレインハックに反応してしまう自分を、ルサンチマンで終わらせない。

 環境が強すぎると知ったうえで、それでも自分の側を変えていく。

 崩れることを前提にして、戻り続ける。


 それは弱さではない。変容を肯定する、ということだ。

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