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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第9章 それでも、自分で選ぶために――実存としての自由

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実存は、設計される前にある

 フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルは、こう言った。


「実存は本質に先立つ」


 人間はまず存在する。その後で、自分が何者かを定義していく。

 生まれた瞬間に「こういう人間だ」と決まっているのではなく、生きながら、選びながら、自分を作っていく。


 これは単純に聞こえるが、現代においては非常に重要な視点だ。

 なぜなら、ブレインハックはその「定義する前の自分」に入り込んでくるからだ。

 反応する。習慣を作る。欲望の向きを変える。不安を刺激して、判断を急がせる。

 気づけば、他人が設計した環境の中で、自分を定義させられている。


「自分はこういう人間だ」と思っていることの多くが、実は外から刷り込まれた反応パターンかもしれない。

 だからこそ、自分で定義し直すことが必要になる。


 サルトルの言葉を借りれば、私たちは「自由の刑に処されている」。

 選ばないという選択もまた、選択だ。反応するままに流されることも、一つの選択だ。


 ただ、その選択が本当に自分のものかどうかを、一度だけ問い直すことができる。

 それだけで、流され方は変わる。

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