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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第1章 気づけば奪われている――スマホ脳の「その先」で起きていること

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ブレインハックとは何か?

 ここで、本書のもう一つの言葉を置いておきたい。

 ブレインハックである。

 少し強そうに聞こえるかもしれない。 けれど、言いたいことは単純だ。


 人間の脳が反応しやすいポイントに働きかけて、注意、感情、欲望、習慣、判断を少しずつ動かしていく設計のことだ。


 通知が気になる。 短い動画を次々と見てしまう。

 おすすめに出てきたものを、気づけば開いている。

 一度閉じても、また戻ってしまう。

 そうしたことは、偶然起きているわけではない。


  反応の起点が、最初から埋め込まれているのである。

 勉強のためにスマホを開いたはずなのに、気づけば別の動画を見ている。

 誰かに連絡を返すだけのつもりが、そのままおすすめを追ってしまう。

 そんな小さなズレが、毎日くり返し起きる。 ブレインハックは、そういうところで働く。


 通知は、ただの連絡ではない。

「今、何かが起きている」と感じさせる呼び出しでもある。


 短い動画は、時間の切れ目を感じにくくする。

 レコメンドは、「自分の好み」を学んでいるように見えながら、実際には「離れにくさ」を育てている場合がある。

 無限スクロールは、終わりどころを奪う。


 こうした仕組みは、SNSや動画配信だけにあるわけではない。

 ゲームにも、通販にも、サブスクにも入り込んでいる。

 ポイ活のような行動まで含めて、日常のかなり広い範囲が設計の対象になっている。


 つまり、ブレインハックとは、一つのアプリやサービスの話ではない。

 私たちの日常そのものに広がりつつある設計思想の名前である。

 重要なのは、それが必ずしも悪意の顔をしていないことだ。


 むしろ多くの場合、便利さや快適さや楽しさの形をしてやって来る。

使いやすい。気持ちいい。退屈しない。

 だからこそ、抵抗しにくい。 次章以降で、その全体像を順に見ていく。

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