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「スマホ脳」のその先へ~高度洗脳社会を生きる~  作者: 三津朔夜
第4章 日常そのものが設計されている――スマホの外に広がるブレインハック

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仕掛けはもう、日常の中にまである

 ここまで見てきたように、私たちはすでに、通知、短い動画、レコメンド、承認、比較といったものを通して、かなり精密に設計された環境の中で生きている。


 けれど、本当に厄介なのは、それがスマホやSNSの中だけで完結していないことだ。

 ゲーム、買い物、ポイント、広告。どれも特別なものには見えない。

 だから見えにくいまま、効いてしまう。


 ゲームはなぜ、最初の数分で夢中にさせるのか?


 ゲームは楽しい。 それ自体を否定したいわけではない。

 問題は、楽しさの中に、夢中になる理由と、やめにくくなる理由の両方が設計されていることだ。


 今のゲームは、やめにくくする前に、まず最初の数分で気持ちよさを起動する。

 小さな達成。派手な演出。すぐ返ってくる報酬。 始めた直後から人間の報酬系に働きかけ、「もっとやりたい」と思う理由を先に渡してくる。


 つまりゲームは、継続の設計だけでなく、最初の没入まで設計している。

 その上で、ログインボーナスがある。スタミナ制がある。限定イベントがある。ガチャがある。


 ここまで来ると、ゲームは単に楽しいから続くのではなく、

 戻ってきたくなる、

 離れにくい、

 今やらないともったいない、

 が重なってくる。


 久里浜医療センターでも、ガチャは低い確率の当たりと「ここまで使った分を無駄にしたくない」という心理が重なり、やめどきを失いやすい構造として語られている。

 夢中になるように作られ、やめどきまで奪われる。

 そこが問題の核心だ。


ゲームはなぜ、最初の数分で夢中にさせるのか

 しかもこの設計は、ゲーム本編の中だけで終わらない。

 通知が来る。コラボが告知される。期間限定の報酬が並ぶ。

 ゲームは生活の時間にまで食い込み、「また戻ってくる理由」を絶えず作り続ける。


 これに加え、見落としたくないのが映像の作り方だ。

 最近のゲームはもちろん、アニメや映画の予告、商品のPVやCMでも、最初の一瞬で注意をつかみ、飽きる前に次の刺激を差し出す設計が当たり前になっている。


 短く切り、テンポを上げる。見せ場を先に置き、続きが気になるところで切る。

 こうした作り方は、ただ見やすくしているだけではない。

 離脱しやすいポイントを、離脱しにくい流れへ変えていく。


 問題なのは、意志が弱いからやめられないという話ではない。

 夢中になりやすく、戻りたくなり、やめどきを失いやすいように作られていることだ。

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