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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
アルセラ

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124/125

第124話 衝撃の事実

 今日は昼から宝石商が訪れるため、朝からバルディウス邸で準備をしている。

 あたし自身はそこまで気合いを入れる必要はないと思うのだけど、ミアがすごく張り切っていて譲ってくれなかった。


「アルセラ様、湯が入りましたからゆっくり浸かってくださいね」


 ミアたちはお風呂の中でもお世話したかったようだけど遠慮してもらう。


 せっかく久しぶりのお風呂なのだから、一人でゆっくりしたいわ。

 体は精霊にお願いして綺麗にしてもらってるからいいのだけど、やっぱりお湯に浸かると違うのよね。

 ダンジョンにもお風呂を作ろうかな?

 どうせ作るなら温泉風の岩風呂にして、温度管理はダンジョンに任せて…… 温泉の成分って硫黄だったかしら? 他にもいろいろあった気がするけど……温泉としての基準があるはずなのだけど、さすがに覚えてないわねぇ……


「アルセラ様? そろそろ、のぼせていませんか?」


 ……はっ!

 考え事をするとダメね。今上がります。



 部屋では待ち構えていたかのように囲まれて、わしゃわしゃと拭かれている。


 別に自分で拭けるし、なんなら精霊にお願いしたらあっという間なのだけど?


「たまにはお世話させて下さい!」


 あ、はい。大人しくしています。

 ミアに凄まれ、なすがままに拭かれると、バスローブのようなものを着せてもらい、準備されたレモン水を頂く。


 のぼせる手前だったからか、すごく美味しい〜


 体を休めたらクラリッサ様から借りたデイドレスに着替える。髪をセットされ、化粧を施されていく。


 王宮の時ほどじゃないけど、この準備がすごく時間がかかるのよね。慣れないわ……それに、耳を隠すために髪を左右に分けるから、やっぱり気恥ずかしい。

 左右に分けるのってどうしても子供の髪型ってイメージが抜けないのよね。



 昼食を一緒に、と誘われているから準備が終わったら食堂へ向かうべく部屋を出ると、部屋の扉の横でレオンハルト様が待っていた。


「いつも綺麗ですが、また雰囲気が変わりますね」


 にこやかに、ものすごく自然に褒めてくる。

 顔が赤くなっているのが自分でもわかるわ……


「ありがとうございます……」


「エスコートをさせていただいても?」


 ただ食堂に向かうだけなのですけどね。どうしたのだろう?


「すみません。婚約者が決まりそうでして。失礼でなければ先生に練習相手になっていただけませんか」


 なかなか女性をエスコートする機会がなくて、と恥ずかしそうにはにかむ。


「なるほど。そういうことなら喜んで」


 んー、でも辺境伯様の地位ならもっと前から婚約していそうなものなのだけど?


「うちは血筋だけはいいのですが、財政難でしたし、戦争もありましたから」


 レオンハルト様があたしの疑問を察して説明してくれる。

 そういえば鉱山が枯れかけていて領の財政が傾いているって言っていた記憶があるわね。そこに戦争が起きたら、婚約者がいたとしても逃げるか。

 あれ? それってあたしのせいじゃ……?


 レオンハルト様があたしの表情を見て苦笑する。


「先生? 戦争も婚約者が決まらなかったのも先生のせいではありませんからね?」


 え? 声に出ていないわよね? そんなにあたしってわかりやすい?


「むしろ正式に婚約する前に戦争が起きて良かったくらいです。覚悟のない方が辺境にいらしても困りますから」


 そういう考えもありよね。

 有事の時に怖いって怯えられても、自分を守れって騎士を抱え込まれても困るわよね。

 それくらいなら自力でさっさと逃げるくらいの度量がないと、辺境では生きていけないかも?


「先生のように現場に出たがるのも問題ですが……」


 あたしだって戦闘は怖いですよ? 最初は興味が勝つけど……そこは否定しないけど……それは安全だってわかってる場所であることが前提であって……


 小声でむにゃむにゃと言い訳しているとレオンハルト様がくすくす笑っている。


 もう、あたしの反応で遊んでますね?



 そんな話をしているうちに食堂に着いて席に座らせてくれる。

 本当に慣れていないのかっていうくらいスムーズね。全然次の行動に戸惑わないわ。


「アルセラちゃん、レオンハルトのエスコートはどうだったかしら?」


「はい、誘導が自然で安心して委ねられました」


「あら、とても高評価ね!」


 レオンハルト様がほっと息を吐いている。

 なるほど。クラリッサ様からの試験だったのですね?


「アルセラちゃん、先日は教えてくれてありがとう」


 どうやらちゃんとお医者様からご懐妊の確認がとれたようだ。


「まだ小さいから安定してから公表するわ」


 そうですね。

 無事に、元気に産まれるといいな。

 そうなると、出産と結婚でしばらくお祝い続きですね。


「まだ婚約が決まりそうというだけで、結婚までは……」


 照れて横を向いてますけど、貴族の結婚ですからね。

 一般的に幼い頃の婚約なら、情勢の変化とかで解消されることはある。でも成人後の婚約だと、婚約期間なんてあってないようなものよね?


「普通はそうなのだけど、うちはちゃんと相性も見るわ。そうじゃないと息抜きできる場所もないから、お互いに大変だもの」


 家同士の交渉は婚約が決まるまでにじっくりと検討しているから、当人同士が合うかどうかは婚約期間中にしっかりと見定めるようだ。


 よく考えられているわね。

 エルフなんて精霊が囁いたら待ったなしだけど……というか、囁かれて嫌っていうのを聞いたことがないわね? 囁きを拒否されることってあるの?


『お互いに好きじゃないと囁かない』


 え? そうなの?

 ……あれ? そんな自覚はなかったのだけど?


 そっかー……あれって、強制じゃなくて、ある意味恋愛結婚だったのかー。


 ……知らなかったなぁー……

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