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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
エルヴァリエル

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115/127

第115話 エルヴァリエルで起きたこと

 エルヴァリエルで起こったことをどうやって調べるか。考えに考えた結果、どうしてもここに行き当たる。


「エルフの森で起きたことだもの。エルヴァリエルの族長に聞くのが一番だわ」


 問題はどうやって聞くか、なのよね。

 追放されている身だからエルフの森に行くわけにいかない。それに、ふらふらと一人で歩いていることがわかったら……捕まえてくれと言っているようなものよね。


 そうなると……これしか思いつかない。

 やったことはないけど……たぶん、できると思うのよね。


「風の精霊。エルヴァリエルの族長に伝言お願いできる?」


 光の祝福と比べるとものすごく弱いけど、風の祝福も持っている。エルヴァリエルの族長もたしか風の祝福だったはず。なら、繋がるよね?

 そよっと風が動いて了承の意思が伝わってくる。


 いきなり長いやりとりを試すのは、うまく伝わらないときにぐだぐだになりそうよね。


「光の娘からの伝言で、ルミシルヴァの娘が精霊になったって伝えて」


 言葉と同時に魔力も渡す。嬉しそうに風を残して族長の元に行ったようだ。


 これでうまく伝わるのなら、少しずつ何があったのか聞けるかもしれない。

 しばらく待つと風を感じたから魔力を渡してやる。


『精霊になったとは、どうしてそんなことに?』


 ……っ!

 そんなこと! あたしが聞きたいわよ!


 思わず叫んでしまったけど……落ち着かなければ……

 とりあえず、ちゃんと伝言できることはわかったわ。


「風の精霊、何度かお願いするけどよろしくね」


 冷静に、冷静に……相手は族長なんだから、暴言を吐かないように……


「次の伝言ね。詳しいことは何もわかりません。人に捕まっていたようですが、どうして捕まったか、わかりますか?」


 待つ時間がもどかしいけれど、メールのやり取りだと思えばこれくらいは待てるわ。

 だけど、次にきた言葉が信じられなかった。


『ルミシルヴァの若長を追放して、人間に捕らえさせるために結界の外で拘束していた。そこに娘が来て話している間に捕まった』


 お兄様の追放は、きっとダンジョンの利用で魔素を減らしたことが発覚したのだろう。それはわかる。

 だけど、お兄様を人間に捕らえさせる?

 しかもアイラがそこに来るのを許したの?

 捕らえさせるってことは、そこに人間が来るってわかっていたのよね?


「……みんな、何を考えているの……?」


 そんなの、捕まって当然じゃない。

 ああ、直接問いつめたい!


「次の伝言をお願い。なぜ若長を人に捕らえさせたのですか?」


 そこが一番わからない。追放するなら、放っておけばいい。なのに、わざと捕らえさせるなんて……


『人間が若長を探していた。いつまでも探られるのは迷惑だ』


 ……ああ、そうか。族長は人間の残酷さを知らないのだわ。

 話をして、交渉して、妥協点を探す人もいる。だけど……


「人間は奪えるものなら力で奪う。あたしも、理解したくない部分ではあるけど……」


 ドゥルガルドが攻められて、あたしを狙ってここに来たときにあたしもどうして?って思った。

 だけど、前世だってそう。どこかでなにかしら戦争は起こる。外から見たら些細なことで。簡単に……


 どう返事をしたものか迷っていたら追加の言葉がきた。


『ルミシルヴァの族長ももういない。追放は取り消す。戻ってこい』


 ……抑えていたものがぷつっと切れた。


「伝言して! 戻りませんっ! どんな条件になろうと戻るつもりはありません!」


 エルヴァリエルの族長がこんなに無神経な人だとは思わなかったわ!

 本当はおじい様のことだって、何があったのか聞きたい。ルミシルヴァのみんなも今どうしているのか……


 なのに、手に入るはずの祝福がなくなったから次だなんて……判断したおじい様がいなくなったから取り消すって……自分勝手すぎる!

 強い祝福を持っていたって道具じゃないのよ! 感情があるのよ!

 この状況でエルフの森を一番に考えろって、無理があるわよっ!


 ◇◇◇


 風の精霊が騒ぐから何事かと思って魔力を渡したら、光の娘から伝言が届いた。まさかこのように連絡をよこしてくるとは……

 だが、内容はとてもではないが受け入れられるものではない。ルミシルヴァの娘が精霊になったなど……それではエルフの森の守りが……また世界樹が枯れ始めたらどうしたらいいのだ?


『戻りませんっ! どんな条件になろうと戻るつもりはありません!』


「なぜ戻らない?」


 エルフが魔素もなく、精霊も数が少ない外で暮らすなど、大変だろうに……しかも、何か怒っている?


『わからないの?』


『伝言じゃない言葉も聞かせる?』


『声、覚えてる?』


『覚えてる』


 風の精霊がこちらに伝えるつもりはなかったであろう光の娘の言葉を伝えてくる。

 それはそれで、聞いてもいいのか?と思わなくもないが……


『そんなこと! あたしが聞きたいわよ!』


 たしかに、後から詳しいことはわからない、と言っていたな。

 ……この時からすでに怒っているのか……


『……みんな、何を考えているの……?』


 これは、どの出来事を指して言っている?


『人間は奪えるものなら力で奪う。あたしも、理解したくない部分ではあるけど……』


 ……力で奪う……やはり、人間はエルフとは相容れない存在なのだな……


『強い祝福を持っていたって道具じゃないのよ! 感情があるのよ!』


 なぜ道具だと? 何か勘違いをしていないか?


『この状況でエルフの森を一番に考えろって、無理があるわよっ!』


 なぜそうなる?

 ただでさえ魔素もない環境で、さらにエルフが狙われている。そんなところでは大変だろうから帰ってきたらいい。それだけなのだが……


「……別に道具などと思っていないが?」


 一番疑問に思ったことを呟いたら、風の精霊から戸惑った気配を感じる。


『さすがに……』


『想定外』


『これで気づくなら言わない?』


『そうかも』


『光の娘がかわいそう……』


 ……何か……ものすごく責められている気がする。

 どこをどう間違ったのだろうか?

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