㉔ エピローグ
「こんにちは」
アタシは久しぶりに、名護屋テレビ塔の亜空間レストランに顔を出した。
「おっ、雪子さん。ご無沙汰ですね。お元気でしたか?」
永遠の35歳のサン・ジェルマンが、何時ものように、爽やかな笑顔で迎えてくれた。ただ何故か、バーテンダーの格好をしている。
「今日は珍しく、鷹志君も由理子さんもお休みなんですよ」言い訳のように、そんな事を言う伯爵。
どうやら、何かしらの新カクテルを、試作していたようだ。流石に、助手の鷹志が休みの日くらい、研究も休憩って事かな。アタシはそう思った。
「実はさっき、最後の"自分探しの旅"を終えて来たところなのよ」
「ほう、それはそれは……で、どうです?吹っ切れそうですか?」
「……お陰様で。雪村の最期まで見て来たから、もう大丈夫よ、多分。」
「そうですか。それは何よりです……ただ、未来は実際に自分の身で体験するまでは……」
「……未確定なんでしょ?解ってるわよ。そんな事」
アタシはそう言いながら、もう心の中に、わだかまりや、迷いは無かった。
これからも、伯爵に協力してやろう。
彼は私の弟子であり、恩師でもあり、元カレでもあるのだから……アタシはそう、心に決めた。
「ああ、そうそう……」
アタシは大事な事を思い出した。
「何ですか?」
「古代インドの戦争の真っただ中で、不思議な少年に出逢ったの。確か"アシュラ"とかいう名だったわ」
「ああ、彼の事ですか……元気にしてましたか?」
「ええ、ソレはもう、元気過ぎるくらい……伯爵にヨロシクと、言っていたわよ?」
「なあに、昔、少しばかり、敵に囲まれていた彼に、加勢した事が有りましてね」
「そんな事だろうと思ったわ。まったく、黒猫バステト神も顔負けの、御活躍ね?」
「それ程でも有りませんよ。雪子さんだって、これから色々と有るでしょうしね」
「せいぜい頑張るわ。どうぞお手柔らかにお願いするわね?」
「……了解です」
こうしてまたアタシは、チーム・サン・ジェルマンの時空調査員として、彼のために貢献する事になるのだった。それが、西暦2013年4月10日の事である。
以上でこのエピソードは完結です。
次回作「フェニックスの雪村」もどうぞよろしく
お願い致します(>ω<)




