表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
115/126

砂糖の価値

「くっ……苦し……タタ! 落ち着け!」


砂糖を見せただけなのに、タタは胸を押さえて何度も深呼吸している。


「はぁ……はぁ……」


「大丈夫か?」


「大丈夫ではありません!」


「えぇ……」


「一体どうやって砂糖を作ったのですか!?」


「あの植物からだけど……」



「まさか……」


タタは、先ほどの植物を思い出したようだ。


「あの家畜用の植物で……」


「そうみたいだな」


「……」


タタの顔が険しくなる。


「なんか、不味い感じだな?」


「はい」


「砂糖は貴重品なのか?」


「非常に」


「この量だけでも……」


タタは小さな容器に入った砂糖を見る。


「かなりの価値があります」


「うーむ……」


俺は頭を掻く。


「どうする?」


「どうすると言われましても……」


タタは困ったように答える。


「作り方そのものは、まあ手間は掛かります」


「だよな」


「ですが、難しい技術ではありません」


「そうなんだよな」


「しかも原料となる植物が、こちらに存在している」


「うん」


「つまり……」


タタは少し遠い目をする。


「砂糖を大量に作れる可能性があります」


「……」


「上に報告を上げます」


「やっぱり?」


「はい」


「しばらくお待ちください」


「何か大事になってきたな……」


『その様です』


「どうなるんだろうな?」


『不確定要素が大きいです』


「だよな……」


俺は砂糖の入った容器を見る。


「まあ、連絡待ちか」


『はい』



数日後。


「ま、誠殿ー!」


「おっ!」


タタが大急ぎで走ってくる。


「どうだった?」


「駐留兵を数十名、送ってくるそうです!」


「はぁ?」


俺は思わず聞き返した。


「兵?」


「はい!」


「何故!?」


「それほどの大事ということです!」


「いやいやいや……」


砂糖を作っただけだぞ?


「何で兵まで……」


「まず、兵が来てからですね」


「何だかなぁ……」


『想定以上の反応です』


「だよな」


しかしタタは、急に笑顔になった。


「しかし!」


「はい?」


「大量生産の準備をお願いします!」


「へ?」


「そのままの意味ですが?」


タタが満面の笑みを浮かべる。


「いやー!」


「私も嬉しいことです!」


「特産品が増えるのは素晴らしい!」


「みんなが豊かになります!」


「……」


「素晴らしいことです!」


「お前……」


『誠様』


「分かってる」


タタがさらに続ける。


「砂糖を大量に生産できれば、商人も呼べます!」


「はい」


「砂糖を求めて人も集まります!」


「はい」


「この村の価値も上がります!」


「はい」


「そして税収も――」


「……」


「皆さんが豊かに!」


「今、税収って言ったよな?」


「言ってません!」


「言っただろ」


「気のせいです!」


「……」


その時。


ひらり。


タタのポケットから、何かが落ちた。


「ん?」


俺が拾う。


「タタ」


「はい?」


「これ何だ?」


「……」


タタの顔が固まる。

紙だった。そこには――砂糖生産責任者 タタ。と書かれている。


「……」


「タタ」


「はい」


「責任者に任命する」


「……」


「責任者になったのか?」


「いや……その……」


「良いことじゃないか!」


「はい!」


タタが一瞬で笑顔になる。


「大変名誉なことです!」


「だよな」


「これで私が正式に――」


タタは胸を張る。


「砂糖生産を管理できます!」


「おお」


「生産量を増やして!」


「うん」


「販売先を確保して!」


「うん?」


「商人を呼び込んで!」


「……」


「村の収益を増やして!」


「……」


「そして――」


タタがニヤリと笑う。


「皆さんを豊かに!」


「……」


「良い金蔓……」


「ん?」


「……ではなく!」


「今、何て言った?」


「何も言ってません!」


『誠様』


「アイ」


『タタ様の表情を確認してください』


俺はタタを見る。満面の笑み。

完全に何か企んでいる顔だ。


「……悪どいやつだな」


『その様です』


「違います!」


タタが慌てて手を振る。


「私は皆さんのために!」


「本当か?」


「本当です!」


「じゃあ、なんでそんなに嬉しそうなんだ?」


「特産品が増えるからです!」


「……」


『誠様』


「何だ?」


『これは、非常に高い商業的価値を持つ可能性があります』


「やっぱりか」


俺は砂糖の入った小さな容器を見る。

たったこれだけの白い粉。

それなのに、兵が送られてくるほどの価値がある。


「砂糖一つで、ここまで変わるのか……」


『はい』


「町づくりだけじゃなくて、今度は経済まで動き始めたな」


『その通りです』


タタが再び叫ぶ。


「誠殿!」


「何だ?」


「砂糖の大量生産についてですが!」


「……」


嫌な予感しかしない。


「まず畑を!次に工場を!そして人員を!さらに――」


「分かった、分かった!」


「準備する!」


「ありがとうございます!」


タタは嬉しそうに走っていく。


「……」


俺はその背中を見送る。


「本当に責任者になったんだな」


『はい』


「でも、あれ……」


『はい』


「絶対、砂糖を使って何か大きなことを企んでるよな」


『その可能性は高いと思われます』


「……」


「まあ、町が豊かになるならいいか」


『合理的な判断です』


「ただし!タタが調子に乗りすぎないように、ちゃんと見ておこう」


『同意します』


遠くでは、すでにタタが職人たちを集めている。


砂糖という新しい特産品。


それは、この町の未来を大きく変えることになるのかもしれなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ