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異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


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新しい味

「で?」


俺はアイに尋ねる。


「まず何が必要だ?」


『完熟トマトを鍋一杯。玉ねぎを五、六個。ニンニクに似た物を一つ。それと干し柿を二つ。塩、お酢。スパイスとして使えそうな野草を何種類か』


「んー……」


俺は必要な材料を紙に書いていく。


「何作るんだ?」


『まずは、ケチャップです』


「おー!」


俺は思わず声を上げる。


「それなら作れそう!」


『はい』


「まずってことは……」


『他にもあります』


「何だ?」


『マヨネーズです』


「マヨネーズ!いいね!」


『卵、油、お酢、塩です』


「ん?」


俺は材料を見る。


「それだけで出来るのか?」


『はい。大丈夫です』


「うん!それなら俺でも平気そうだ!」


『その認識で問題ありません』


「よし!」


俺は材料を集めることにした。



まずはケチャップ。

完熟したトマトを鍋いっぱいに入れる。


「これを潰して……」


トマトを潰していく。


「玉ねぎとニンニクっぽいのは、すりおろす」


『はい』


「干し柿も?」


『細かくしてください』


「砂糖の代わりか」


『その通りです』


「なるほど」


全部を鍋に入れる。


「後は煮込む」


『はい。焦がさないように、ゆっくり煮込んでください』


「うむ。簡単だな」


『誠様でも可能です』


「……」


「またその言い方」


『事実です』


「はいはい」


俺が鍋をかき混ぜていると――


「誠ー!」


「ん?」


ミィナがやってきた。


「また変なことやるのか?」


「変なことじゃない!」


「何作ってるんだ?」


「新しい調味料だ」


「調味料?」


「そう」


ミィナが鍋を覗き込む。


「何だこれ?」


「ケチャップ」


「……」


「完成してからのお楽しみだ」


「見てていいか?」


「いいぞ」


『それでは、ミィナ様。お手伝いをお願いします』


「おう!」


「ミィナにはマヨネーズを作ってもらおう」


「マヨネーズ?」


『まず、こちらのボウルに卵、油、お酢、塩を入れてください』


「これだけ?」


『はい』


ミィナが材料を入れる。


「何が出来るんだ?」


『完成したら教えます』


「分かった!」


ミィナは木の棒を持つ。


「混ぜればいいんだな?」


『はい。しっかり混ぜてください』


「おう!」


かちゃかちゃかちゃかちゃ。


「……」


俺は思わず手を止める。


「うお!すげー速度!」


「これぐらいやるのか?」


『もう少しお願いします』


「分かった!」


かちゃかちゃかちゃかちゃ!


「おお……」


「これ、いつまでやるんだ?」


『とろみが出るまでです』


「とろみ?」


『全体が、とろーんとなるまでです』


「分かった!」


ミィナはさらに混ぜ続ける。


「はぁ……これぐらいか?」


『はい。完璧です!』


「本当か?」


『はい』


「じゃあ……」


俺は少しだけ指につける。


「舐めてみて」


「おう」


ぺろり。


「……」


ミィナの目が大きくなる。


「何だこれ!?」


「どうだ?」


「うめー!」


「そんなに?」


「うめーぞ!」


『マヨネーズです』


「これがマヨネーズか!」


ミィナはもう一度舐める。


「美味い!」


「良かったな」


「何につけるんだ?」


『野菜などと一緒に食べることを推奨します』


「野菜?」


『はい。他にも様々な食品と組み合わせられます』


「なるほど」


ミィナは少し考える。


「これ、貰っていっていいか?」


「いいぞ」


「やった!」


ミィナは嬉しそうにマヨネーズを抱える。


「家で色々試してみる!」


「食べ過ぎるなよ」


「分かってる!」


ミィナはそのまま走っていった。


「……」


『新しい料理への反応は良好です』


「だな」


俺は鍋を見る。


「さて……こっちはどうかな?」


『そろそろ確認してみましょう』


蓋を開ける。

ふわっと、甘酸っぱい香りが広がった。


「おお……」


『良い状態です』


「これをもっと煮詰めて……」


『はい』


俺は鍋をかき混ぜる。


「ケチャップにマヨネーズか」


『どちらも様々な料理に使用できます』


「これなら、食事の幅もかなり広がりそうだな」


『はい』


俺は鍋を眺めながら笑った。


「ポテチから始まって、調味料まで作ることになるとはな」


『食事を楽しむ段階へ移行しています』


「なるほどな。生きるために食べる。腹を満たすために食べる」


そして今は――


「美味しい物を食べるために、料理を工夫する」


『はい』


「町が豊かになってきたってことか」


『その通りです』


俺は鍋をかき混ぜながら、少しだけ笑った。


「さて、完成したら次は何を作るんだ?」


『まだ候補があります』


「……」


「やっぱり、仕事は増えるんだな」


『はい』


「まあ……」


俺は完成に近づいていくケチャップを見る。


「美味い物が増えるなら、悪くないか」


『同意します』

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