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異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


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人が集まる町

俺は午前中、いつものように手引き台車を引いていた。


「さて、今日もゴミ回収だな」


集積場を回りながら、ふと周囲を見渡す。


「……」


「町、出来てきたな」


ゴミを回収するついでに、今日は少し町並みを見て回ることにした。


建築工事は着々と進んでいる。


レンガを積む者。セメントを混ぜる者。

U字溝を設置する者。木材を加工する者。

それぞれが自分の仕事をしている。


「みんな元気そうだな」


『はい。作業も順調に進んでいます』


「最初の頃とは大違いだ」


村ができたばかりの頃は、生きるだけで精一杯だった。


今では、町を作るために働いている。


「……変わったな」


俺は少しだけ感慨にふける。



その間にも、人は増えていた。


「また来たのか」


村の入り口を見ると、数人の新しい住民がやってきている。


「タタの手配か?」


『可能性が高いと思われます』


「毎日、数人ずつか……」


種族も様々だ。人族らしい人。耳の長い人。

体格の大きな人。獣のような耳を持つ人。


「種族は問わずって感じだな」


『はい』


俺は少し考える。


「こっちの世界では、人種……というより種族による差別はあまりないのか?」


『現時点では、そのような傾向は確認されていません』


「まあ、それなら良いことだな」


どんな種族であろうと、この村では働いて、食べて、暮らしている。


「それに……」


俺は新しく来た人たちを見る。


「人が増えるのは、今の町には必要だ」


『労働力という意味でも重要です』


「それだけじゃないだろ」


『はい』


「住民が増えれば、商売も増える」


『その通りです』



「お?」


今度は商隊がやってきた。


一台。二台。さらに後ろからもう一台。


「ひっきりなしだな」


『商業活動が活発になっています』


「確かに」


商人たちは村に荷物を運び込み、村で作られた物を積み込んで帰っていく。


以前より明らかに頻度が増えている。


「これなら、宿屋は必要だな」


『はい』


「商人も泊まる場所があった方が便利だ」


『滞在時間が長くなれば、町で消費される物も増えます』


「それに、便利ならまた来る」


『その可能性があります』


「市場も宿も必要になるわけだ」


俺は商隊を眺める。


「……町らしくなってきたな」



少し先へ進むと、空いていた土地にも変化があった。


「ん?」


杭が打たれている。

その杭を繋ぐように、縄が張られている。


「また区画が増えたな」


『ナナ様の設計によるものと思われます』


「こっちは何になるんだ?」


俺は縄の内側を見る。

まだ何もない。だが、以前よりも区画が増えている。


「家か?」


『住宅地の拡張予定区域と推測します』


「なるほど」


別の場所にも杭。

そこにはさらに大きな区画が取られている。


「こっちは?」


『商業施設、もしくは宿泊施設の可能性があります』


「宿かな?」


『設計図を確認する必要があります』


「まあ、そのうち分かるか」


俺は台車を引きながら進んでいく。


「……」


気付けば、町の至るところに杭と縄がある。

以前は何もなかった土地。


そこに、


「ここには家。ここには道。ここには市場。ここには宿」


と、未来の姿が描かれている。

まだ建物はない。

でも、確実に町が広がっている。



「なあ、アイ」


『はい』


「俺、ゴミ回収しながら町を見て回ってるけど……」


『はい』


「これ、結構面白いな」


『町の変化を毎日確認できます』


「昨日なかった建物が、今日は結構できてる。昨日は何もなかった場所に、今日は杭が打たれてる。新しい人も毎日来る。商人も来る」


『人口、建築物、商業活動の全てが増加しています』


「本当に町になってきてるんだな」


俺は足を止める。

少し前まで、ここはただの開拓村だった。


今は違う。人が集まる。物が集まる。商人が集まる。知識を持つ者も集まる。


そして、新しい建物が次々と作られている。


「人が集まるところには、仕事も集まる」


『はい』


「仕事が集まれば、さらに人が来る」


『その通りです』


「これが町が大きくなるってことか」


『その可能性が高いです』


俺は再び台車を引き始める。


「さて、次の集積場へ行くか」


『はい』


町を歩けば歩くほど、変化が見えてくる。

ゴミを集めながら眺める町並み。


それは、誠にとって――自分たちが作ってきたものが、本当に「町」へ変わっていく姿を確認する時間になっていた。

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