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異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


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町の輪郭

「んー……」


俺は村の中を見渡す。


「まさか藁で大量に縄を作るとは……」


『確かに。私も予測しておりませんでした』


「だよな」


少し前まで、ナナは藁半紙に町の設計図を書いていた。


それが今では――


「杭を打って、縄を張って、こっちが道路。あっちは住宅地。ここが市場」


と、村のあちこちに縄が張り巡らされている。


「急に杭を打ち始めたと思ったら、縄が必要とはな」


『恐らく、効率的に杭と縄を使って区割りを始めたものと思われます』


「区割りか」


俺は張られた縄を見る。


「こうして見ると分かりやすいな」


『はい』


「藁半紙の設計図だけだと、いまいち大きさが分からなかったけど……」


目の前には、実際の大きさで区画が示されている。


「これなら想像しやすい」


『恐らく、それも目的の一つと思われます』


「なるほど」


ナナは少し離れた場所で、村人たちと話しながら杭を打つ場所を決めている。


「ここからここまでが道路です。こっちは住宅地。市場はここ。この辺りは広場にします」


村人たちも縄を張りながら、


「この幅なら荷台車も通れるな。こっちは家を建てる場所か。なるほど、ここに市場が来るのか」


と話している。


「設計図を見るより、こっちの方が分かりやすいな」


『はい』


「それに、全部を一気に建てなくてもいいんだな」


『その通りです』


「必要な場所から順番に作ればいい」


『はい』


俺は、ふと気になった。


「そういやナナ、工房にも行ってたよな?」


『はい』


「何をしてたんだ?」


『一日の生産量を確認していました』


「やっぱりか」


ナナは昨日、レンガを作っている職人のところへ行っていた。


その前はU字溝。さらにセメント。

木材。鉄。それぞれの作業場を回っていた。


「何個作れるのか?どれくらい時間が掛かるのか?人員は何人いるのか?」


そんなことを細かく聞いていた。


「生産に負担を掛けないようにしてるのか?」


『恐らく、その通りです』


「町を作るからって、工房の人を全員建築に回したら……」


『現在の生産が止まります』


「食料も作れなくなる」


『はい』


「それなら町を作るどころじゃない」


『そのため、ナナ様は現在の生産力を確認しながら、重点的に建築する場所を決めているものと思われます』


「なるほどな」


俺は町の設計図を見る。

市場。行政施設。宿。倉庫。住宅。工房。

全部を一斉に作るわけではない。


「まずは必要なところから」


『はい』


「上下水道も優先か?」


『はい。ナナ様は、現在そこへ人員を多く割り当てています』


「やっぱりそうか」


道路や建物は多少遅れてもいい。

だが、水と下水は生活に直結する。


「それなら、俺たちがレンガやU字溝を大量に作ってるのは……」


『無駄ではありません』


「無駄じゃない?」


『はい』


『町の整備で使用することは決定しています』


「でも、今すぐ全部使うわけじゃない」


『その通りです』


「なら、在庫として持っておけばいい」


『はい』


「必要な時にすぐ使える」


『その方が効率的です』


「なるほど」


俺は積み上げられたレンガを見る。


「作れる時に作っておく。そして必要になったら使う」


『合理的な生産計画です』


「最初は大量生産って言われて焦ったけど……」


俺は笑う。


「町を作るなら、結局必要になるんだな」


『はい』


その時、ミィナがやってきた。


「誠!」


「どうした?」


「この縄、どこまで伸ばすんだ?」


「俺に聞くなよ」


「じゃあナナに聞いてくる!」


ミィナが走っていく。


「……」


『村人の理解も進んでいるようです』


「だな」


以前なら、俺が説明しなければ誰も動かなかった。今は違う。設計図を見て。縄を張って。自分たちで考えて。必要な場所を確認している。


「町を作るって、建物を建てるだけじゃないんだな」


『はい』


「どこに何を作るか。どれだけ作れるか。どの順番で作るか」


『すべてが関係します』


俺は張り巡らされた縄を見る。

まだ建物はほとんどない。

それでも――


「……もう町の形が見えてきたな」


『はい』


地面に打ち込まれた杭。

張り巡らされた縄。


その一本一本が、これから作られる町の輪郭を示している。今はまだ何もない。

だが、ここにはこれから家が建つ。

道ができる。市場ができる。人が集まる。

そしていつか――この場所は、本当の町になる。


「楽しみだな」


『はい』

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