③ スバルくんを好きなことがバレたら生きていけない
全13話。連休中にどんどん更新して、連休明けに完結予定です。
駅に向かう人通りのない下り坂。
「宵野、お前……」
「メイセイ。慣れて?」
「担当ポスターは何だっけ。」
「【21世紀に引退した列車たち】」
「それは熱いな。トゥルリラインバータ入れた?」
「当たり前でしょ。走行音だけのBlu-ray買ってるし。」
「まじか!高いでしょ。」
「高かったけど、音だけ流して勉強したりしてる。」
思わずスバルはメイセイを横目で見た。
「お前さァ、やっぱ鉄ちゃんじゃん。
なんで部活に来ないわけ?前は来てただろ……勉強?」
メイセイは一瞬黙って地面を見たが、ポツリと言った。
「スバルくんがいるから。」
「僕?」
生温かい風が二人の間を吹いている。
「部活に行ったらバレると思った――俺がスバルくんを好きなことが。
バレたら生きていけないっしょ。」
メイセイの諦めたような小さな声が、大きな並木の間を縫っていく。
「スバルくんが部長になってからは完全にダメだった。」
「な……なんで?」
「見ちゃうし、勃つから。」
「た……たつ?え?どこが……」
メイセイが大股で近付いて、スバルを真面目な顔で見つめる。
「決まってるでしょ。」
「じゃあ、やっぱり……」
「チン……」
「言うなよ!」
メイセイはそっとスバルを抱き寄せる。
「はいはい……ああ……ヤバい……」
「な、何がヤバいの!?」
「幸せ過ぎる……」
「なんなの、お前!ちょ、離せ!!」
「後3秒……」
……
「カウントしろよ!」
思わず叫ぶスバル。
メイセイは「クッ」と噴き出すと、「3,2,1……」とスバルの耳元で囁いてからそっと手を離す。
「お前、変なとこ触んな!」
スバルの顔は爆発しそうなほど真っ赤になっている。
「変じゃない。スバルくんの……」
「そ、それ以上言わなくていい!お、おま、ホモなの!?」
メイセイは唇を噛んでうつむいたが、ゆっくりと坂道を下り始めた。
「うん。そうらしい。」
「でも、お前、女子と付き合ってたよな?」
「うん……最初は気付かなかったし。ゲイだって。」
急にスバルの心臓が冷たくなる。
こういう問題が人を傷つけることはスバルにも容易に想像がついたし、
何よりも……メイセイの声が暗かったのだ。
「まあ、あれさ、最近BLとか流行ってるんだろ。
ゲイでも大丈夫じゃん?」
スバルはちらりとメイセイを横目で見る。
街灯の光が落ちる横顔は、ヤンチャに見られているメイセイとは程遠い静かな端正さを持っている。
二人はしばらく黙って歩いていた。
が、駅前通りに合流する角が近付くと、メイセイが口を開く。
「明日、トゥルリラインバータの走行音聞きながらさ、勉強しない?」
「へ?」
「学校の開放教室。明日予備校ある?」
「お昼まである……」
「あ、俺も。じゃあ、予備校終わったら開放教室Cな。」
「おー……」
気付けば改札の中に入り、ホームに立っている。
N方面の電車が来て、メイセイが乗る。
ドアのところに立ったメイセイを、大学生らしい女性たちが見ている。
白いスクールシャツ、薄い茶色の流れるような髪、短い襟足、切れ長のツリ目。
どこかミステリアスな雰囲気を纏っているからか、妙に目立つ。
しかし、メイセイは食い入るようにスバルの目だけを見つめている。
――女性たちの視界には全く入らないようなスバルを、貪るように。
ホームドアが閉まって電車が走り出し、メイセイはすぐに見えなくなった。
こちらの完結BLもあります:
優美な白髪高官ドルチェ×口の悪い赤髪悪魔フィーネ
R18版は、なろう版から1話追加して全52話
終盤のep.49~51もR18版として大幅に書き直しました
https://novel18.syosetu.com/n2839mt/
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