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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

竜の抜け鱗には、消された歴史が残っている 〜地図にない村を記録する孤児記録官は、没落令嬢の地図師と失われた席を世界に戻していく〜

作者:セルヴォア
最新エピソード掲載日:2026/05/04
地図にない村から、アーカイブギルドへ一通の依頼書が届いた。

「――私たちの村を、地図に戻してください」

孤児出身の記録官ナギは、竜の抜け鱗に残る履歴を読める。竜鱗に刻まれているのは、討伐の力でも秘宝の在処でもない。王国の正史から消された村、名前を奪われた死者、封じられた街道、誰にも継がれなかった祭り、そして帰る場所を失った人々の痕跡だった。

没落令嬢の地図師リラ、土地の味から共同体の記憶を掘り起こす半竜の料理人ジン、偽造された竜鱗を見抜く鑑定士エルネとともに、ナギは公式地図と現地の記憶が食い違う土地を旅していく。古地図、墓碑、祭具、ギルド台帳、失われた料理。断片をつなぐたび、存在しなかったことにされた人々の席が、世界に少しずつ戻っていく。

だが、地図に名前を戻すことは感傷では終わらない。村が復活すれば税も道も墓地権も動き、消した側の利権も暴かれる。真実を公にすれば誰かが救われ、別の誰かの秩序は揺らぐ。登録されなかった者は守られず、墓にも入れず、故郷を名乗ることすらできない世界で、ナギたちの調査は制度そのものを書き換える一手になる。

しかもナギ自身もまた、戸籍も家系も墓も分からない「記録の外」に置かれた存在だった。他人の失われた名前を戻す旅は、やがて自分が世界にいていい証拠を探す旅へと変わっていく。リラは奪われた家名の真実を、ジンは食卓を失った土地に火を、エルネは無理をしなくてもいていい距離の共同体を求め、それぞれの欠けた席を抱えたまま進む。
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