↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
51/151

第17話 消されない衣装

 信長が腕を組む。


「面倒だが、悪くない」


 ジャンヌも小さく頷いた。


「御堂真白は、感情論では動きません。ですが、運用方針や継続性には耳を傾ける可能性があります」


「官僚ですね」


「はい」


 ジャンヌは微笑んだ。


「とても」


 黒川さんが、ずっと黙っていたので、俺は気になって聞いた。


「黒川さんは、何を見てるんですか」


「御堂さんのスーツです」


「コミケからずっと見てますね」


「仕立てが良かったので」


「敵の情報ですか」


「はい」


 黒川さんはタブレットにラフを表示した。


 黒いスーツ姿の御堂真白。


 細身のジャケット。


 白いブラウス。


 無駄のないシルエット。


「この人は、服装からして“削る側”です」


「服装から?」


「はい。余計な装飾がない。色も形も、個性を出すためではなく、個性を消すために整えられています」


 信長が興味深そうに見る。


「衣装でわかるのか」


「ある程度は」


 黒川さんは淡々と言った。


「信長さんは前に出る衣装。光秀さんは整える衣装。ジャンヌさんは受け止める衣装。御堂さんは、消す衣装です」


 会議室の空気が、少し冷えた。


 消す衣装。


 黒川さんの言葉は、ときどき妙に鋭い。


「では、私たちは何を着ればよい」


 光秀が聞く。


「消されない衣装です」


「具体的には」


「本人の意思が反映されている衣装」


 黒川さんは光秀を見る。


「光秀さんは、レーヴァテインの“反逆の白刃”ではなく、ヒスガルの《本能寺再提出》衣装で出てください」


「はい」


「信長さんも、三周年衣装で」


「当然だ」


「ジャンヌさんは、火刑台ショコラティエ以外で」


「当然です」


 ジャンヌの声が少しだけ強かった。


 俺は思わず頭を下げる。


「すみません」


「反省が早くてよろしい」


 十四時まで、あと四時間半。


 俺たちは、監査対応という名の戦に向けて動き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。