第6話 私の位置は、私が決めます
投稿後、すべての批判が消えたわけではなかった。
――公式設定、どこまで本気なんだ。
――急に声明が重い。
――本人を名乗るスタイル、まだ続けるのか。
そんな声も残った。
だが、それ以上に多かったのは、光秀の意思を初めて知ったユーザーの反応だった。
――これ、光秀さんが利用されてただけじゃん。
――ヒスガルに来たの、裏切りじゃなくて避難では?
――あの配信でも、本人が話すたびに別の意味にされてたよな。
――また裏切りとか言ってごめん。
――本能寺再提出の意味、今わかった。
――少なくとも、本人に確認してから売るって言ってるヒスガルの方が信用できる。
その一方で、
――ところで信長の公式レイヤー、二人いるってどういうこと?
――火刑台ショコラティエはコミケで出ますか?
――宮田って誰?
という、まったく別方向の話題も同時に流れていた。
SNSは、いつでも一つの物語だけを見てくれるわけではないらしい。
光秀は、そのコメントを黙って見ていた。
やがて、小さく息を吐く。
「避難……ですか」
信長が腕を組む。
「気に入らぬか」
「いいえ」
「ならよい」
「ただ、次は避難ではなく、自分の足で来たと言えるようにします」
信長は、少しだけ笑った。
「そうしろ」
その瞬間、俺は思った。
コミケは、ただのプロモではなくなった。
光秀が、ユーザーの前で自分の場所を選び直す場になる。
そしてたぶん、信長も、ジャンヌも、俺も、そこで何かを見せられることになる。




