3-1. ホタルと相棒になれるかな
「ルシア、その生き物…。え?黄色い属性の光ですって!?」
森で出会ったホタルを連れて帰ると両親は大騒ぎだった。両親はホタルの光を見て、黄色い属性の光なんて見たことがないと驚いていた。
「俺もこんな生き物、見たことも聞いたこともないぞ。名称はどうしたものか。」
生き物というのは正式な名称で呼ぶのが普通だけれど、正式な名称が誰にもわからないから、私は一番しっくり来る呼び方で『ホタル』と呼ぶことにした。
「ホタルって名前、どう?」
私はダイニングテーブルの上でちょこんと休むホタルをつついてみる。ホタルはくすぐったそうに身体を揺らして、指先にスリスリとすり寄ってくる。
うっ。かわいいっ!!!
「じゃあ、あなたの名前はこれからホタルね。…ねぇホタル、あなたの黄色い光は一体何なの?」
ホタルは返事をしない。なぜならホタルは人間じゃないから。
「あれ?じゃあ、ホタルが私の相棒になったりするのかな。」
そもそもみんなはどうやって相棒になるんだろう?。
「お母さんはどうやって火リスと相棒になったの?」
疑問に思った私は、キッチンに立つお母さんに尋ねた
「火属性だった近所のおばあちゃんから引き継いだのよ。ふとした場所で出会って相棒になることもあるみたいよ。」
私とホタルは森で出会った。そこから相棒になる可能性があるということ?
「相棒になったって、どうやって分かるの?」
「自分のために属性の力を使ってくれたら、相棒と言っているわね。相性があるから、生き物次第ではあるけれど。」
相性が重要かぁ。つまり好かれれば良いってことだね。
私はホタルにニッコリと笑いかけてみた。
私のこと好きになーれ!
お母さんは私を見て可笑しそうに笑う。
「ルシア?あなたがホタルに合わせて行動を変える必要はないの。ホタルが自然体のあなたを気に入ってくれるのが1番いいのよ。」
むぅ。
折角ホタルと出会えたんだから、相棒になりたいじゃないか。私はプクーと頬を膨らませて拗ねながら、足をバタバタさせた。
ホタルがフワフワと飛び、わたしの肩にとまった。驚かせちゃったかな?ごめんね。
ホタルはピカピカと光った。大丈夫だよって言ってくれてたりして。
「ありがとう。」
ホタルの頭をナデナデすると、ホタルはまたポワッと光った。気持ちが通じているみたいでうれしい。
「ねぇ。もうこれって、相棒ってことでいいんじゃない!?」
私はガバッと立ち上がって、ホタルを肩に乗せたままクルリと回る。
ホタルは帯電しているのかな。属性は電気に近いもの?ホタルが相棒になったら何ができるだろう。掃除とか水やりが楽になったりするかな?
「これからが楽しみだね、ホタル。」
私は上機嫌でホタルに話す。するとお母さんが声をかけた。ご飯ができたみたい。
「さぁ、パンとスープよ。みんなでご飯にしましょうか。」
お母さんがテーブルに料理を運んできた。パンと…、具だくさんなソース?
「これがスープ?」
スープってもっと水分たっぷりでヒタヒタじゃなかったっけ?
違和感を持ちつつも、スープを掬って口に運ぶ。お汁が少ないからドロドロしてソースみたい。なんだか、コレじゃない感じがする
。
「お母さん、今日のご飯っていつもと違う?」
「何を言ってるの?いつもと同じじゃない。」
確かに、そう言われてみれば、いつもこれを食べている。
お母さんはいつも通りパクパク食べていて、お父さんも特に違和感はないようで、首をかしげて私を見る。
「疲れたんだろ。今日は早めに寝た方がいい。食べたらゆっくり休んでおいで。」
ほんの少しのモヤモヤはあるけれど、まぁいっか。
「はーい。」
ご飯のあと、寝ようと自室に行こうとしたら、ホタルは連れていかないように、と止められた。どういう生き物か分からないうちは危険だからだそうだ。
ホタルと一緒に寝たかったなぁ。
私は布団に入って横になった。頭を枕にのせ、背中を布団に預ける。
すぅ、はぁ。
強張る肩から力を抜いて深く呼吸をする。すると、少しずつフワフワした気持ちが落ち着いてきた。目を閉じると目蓋の裏にサーヤの顔が浮かんだ。
採掘からの帰り道では避けられていたようだった。私が何かしてしまったのかな。
ごめんなさい、サーヤ。
心のなかで謝れば、脳裏にうつるサーヤは『だいじょうぶだよ』って笑ってくれていた。
そうして私は、眠りについた。




