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2-3. ホタルとの出会い

私は採掘場所から見える木陰に向かった。このあたりは木が伐採されていないからか、木陰にくるだけで木々同士が重なりあい、太陽の光が届かず暗くなっている。


「あれ?」


ふと、何かが光った気がして、目を擦る。黄色く光っては消え、光っては消え、ゆっくりとした点滅が穏やかな漂うように浮かんでいる。私が手を伸ばすと、それは指先に触れた。


バチバチバチッ。


その瞬間、雷が落ちたように閃光があちらこちらに走り、私の指先にはビリビリと痺れがきた。火傷とは違う感覚。見るとお尻を光らせた生き物が指先にとまっている。


「え、ホタルって感電したっけ?」


思わず口をついて出た言葉に、自分で驚く。そうだ、私はこれがホタルだと知っている。ここじゃない世界でホタルを見たことがあるからだ。そして、ホタルの発光は化学反応であり、電気由来ではないため感電しないことも知っている。ホタルなのに感電するってどういうこと?


「大丈夫か!」


アレクさんとサーヤがこちらに走ってくる。


「ルシア!採掘が終わったから帰ろうって声をかけようと思ったら、急に眩しく光ったのが見えたの。なにがあったの?」


2人が近くにくると、ホタルはふわふわと私の周りを飛ぶ。木陰は暗く、そのなかでホタルは私を淡い黄色の光で包むように飛んでいる。私の麦色の髪に光があたるとキラキラと光が反射する。どう説明しようか、考えがまとまらずに私は口を開けずにいた。


「すごい!黄色い光なんて聞いたことがないけど、まるで金色に輝いているみたい。綺麗だわ。ねぇ、アレクさん?」


「…ああ。」


サーヤは興奮気味に私を見ていて、アレクさんも私を凝視している。アレクさんの視線に居心地の悪さを感じた私はアレクさんに声をかけた。


「あの、アレクさん…?」


ビクッ


私が声をかけるとアレクさんは身体をビクりと揺らして、でも視線は変わらずしっかりと私を見つめている。確かに私の状態はちょっと変、いや、かなり変ではある。


「すみません、私にもよく分からないんですが、あまりその…。そんなに見られると恥ずかしかったり…。」


私は戸惑いがちにアレクさんの様子を伺う。まだアレクさんの視線は私を捉えて離れない。


ザクッザクッ


アレクさんは私に向かって1歩1歩近づいてきた。私は怖くなって身体を強ばらせる。


するとアレクさんの後ろにいたサーヤがアレクさんのシャツの裾を引っ張ったのが見えた。


「アレクさん、待って!」


いつも明るいサーヤが不安そうに声をかけるけれど、アレクさんは返事をしない。私はまだ動けずにいる。


そんななか、ホタルは私とアレクさんの間をフワフワと飛んだ。アレクさんの視線が私から離れ、私は強ばった身体から力が抜ける。


ふと木陰から外を見ると、空は少しずつ赤さを帯び、夕方に変わろうとしているところだった。


「いけない!暗くなる前に帰らないとっ。サーヤ、待たせちゃってごめんね、帰ろっか!」


私はサーヤの手を引っ張って帰路を急いだ。帰宅途中、ホタルはずっと私の肩に乗っていたけど、追い払う気持ちは起きなくて、そのまま一緒に家に帰った。アレクさんとは道中頻繁に目があった気がする。サーヤは泣きそうな、ショックを受けたような、そんな表情をしていた。私は心配でサーヤに声をかけようとしたけど、避けられてしまった。結局、誰も話すことがないまま、その日は解散した。

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