2-2. 採掘も属性がないと大変だ
休憩を終えるとまた皆で歩く。ふと、先程よりも息が荒くならないことに気づいた。どうやらサーヤも同じらしい。
「ふふっ。アレクさん、私たちにあわせて、さっきよりも少しゆっくり歩いてくれてるみたい。優しいよね。」
サーヤはなぜか自分が褒められているときみたいに自慢げにしている。
「サーヤはアレクさんのこと、良く見てるんだね。」
そう言うとサーヤは赤い顔をして口をパクパクさせた。でもアレクさんを見て、ぎゅっと口を閉じた。どうしたの?と聞いたら、そんなに見つめてないから!ってアレクさんに聞こえないぐらいの小声で怒られた。
「着いた。」
アレクさんの木タヌキが、アレクさんをバシバシ叩いている。ここで採掘するぞ!って言っているみたい。アレクさんは私たちに少し離れるように指示して作業に取りかかる。
てちてちてち
木タヌキは地面が隆起していて段々の模様ができている場所に歩いていく。この辺りに鉄鉱石があるらしい。周囲にある大きな石も鉄分を含むらしいけど、金物づくりに使う純度が高い鉄鉱石は採掘しなければとれないらしい。
トントン
木タヌキが足で叩くと、放射状に淡く茶色の光が広がり、数ヵ所が点状にチカチカと点滅している。木タヌキが点滅部分をガリガリと掘ると小さい鉱石のようなものが見えてきた。するとアレクさんはツルハシを使って小さい鉱石を隆起した地面から取り出す。アレクさんが取り出している間、木タヌキは別の点滅部分をガリガリと掘っている。
私にもできる気がして、アレクさんに頼んでやらせてもらうことにした。私は点滅部分にツルハシを叩きつける。
「いっくよぉ。よいしょっ。そーれっ!!」
ガーンッ!
「きゃああ!!!」
大きな音と共に、ツルハシが勢い良く弾き返された。ツルハシが手から離れていくことはなかったけど、手がジンジンと痛む。アレクさんが慌ててツルハシを私から奪う。サーヤは駆けてきて、私に怪我がないことを確認すると、心配そうに聞く。
「すごい音がしたよ!ルシア、大丈夫?」
「うう、サーヤ…。思い切り振り下ろしたら、ビクともしなくて弾き返されちゃったの。アレクさんはそこまで力を入れずに掘ってるように見えたんだけど。」
たった1つの鉱石を掘るだけでも私なら1日はかかりそうだ。
「当たり前でしょう。アレクさんは土属性なんだから。茶色で分かりづらいけれど手が仄かに光っていたわ。きっと土属性を使って掘っていたのよ。とりあえず、ルシアが怪我していなくて良かったわ。」
さっきは気づかなかったけど、作業に戻ったアレクさんの手を見ると、確かに仄かに光っていて、属性を使っているようだ。
私はやれることがなくなって、近くにあった岩に腰かける。サーヤはアレクさんを真剣な眼差しで見つめている。
「アレクさん、すごいね。」
「そうだね。あんなに固い場所を採掘できるなんて、土属性があるといってもやっぱりアレクさんはすごいよね。ほら見て、軽々と採掘しているよ!やっぱり筋肉があるからかな?日頃から金物の鍛練で鍛えられてるものね。見て、腕まくりした袖の下からチラ見えする筋張った筋肉!顔つきも凛々しくて!あのゴツゴツした手はいつも頭ポンポンしてくれる手!もう全部がかっこいい!」
いつの間にか、アレクさんがいかにかっこいいかという話しになっている。なんか、つまらない。
「あれ?」
森の奥が視界に入ると、ゾワゾワするような感覚があった。なんだろう?
「私、向こうの方を見てくるね。」
サーヤはアレクさんから目を逸らさずに、はーいと言って手を振った。




