第67話 彦十を呼べ
彦十を呼べ。
そう言うのは簡単だった。
だが、商人を呼ぶというのは、武士を呼びつけるのとは違う。
武士なら、命じれば来る。来なければ、それだけで謀反の匂いがする。
だが、商人は違う。
病だと言える。
荷が遅れたと言える。
船が出ないと言える。
客との約束があると言える。
そして、来ないこと自体を「商いの都合」として隠せる。
それに、無理に捕らえれば商いが縮む。
商いが縮めば、薬も布も小瓶も止まる。
こちらは影を捕まえたいのであって、道そのものを焼きたいわけではない。
だから、彦十を呼ぶにも筋がいる。
「若君様」
大浜屋の手代、藤助は静かに言った。
「彦十は、ただ『来い』と言われて来る男ではございません」
「だろうな」
「疑われていると知れば、まず姿を消します。逃げるというより、別の荷へ紛れます」
「商人らしいな」
「商人でございますので」
藤助は頭を下げた。
顔は低い。
だが、腹の中ではずっと算盤を弾いている。
この男を信じるつもりはない。
だが、藤助は大浜屋の名を守りたい。
そこは使える。
「では、どう呼ぶ」
信勝が聞いた。
藤助は少し考えた。
「商談です」
「商談?」
「はい。熱田の小荷札が始まるなら、大浜屋として正式な荷受け筋を決めねばなりません。薬草、小瓶、古布、松脂。これらを扱う者を集める。彦十は、その場へ出ざるを得ませぬ」
「なぜ」
「出なければ、自分の道が藤助に奪われると思うからです」
なるほど。
疑いで呼ぶのではない。
利で呼ぶ。
自分の商いが奪われると思えば、出てくる。
人は、責からは逃げる。
だが、利を失う場には顔を出すことがある。
「場所は」
俺が聞くと、藤助は答えた。
「熱田がよろしいかと。那古野では重すぎます。清洲では筋が違う。熱田なら、小荷札の話として自然です」
「宗次を通す」
「はい」
「藤右衛門本人は?」
「まだ出ませぬ」
藤助は正直に言った。
「彦十をどう扱うか見てから、出るかどうか決めるでしょう」
「大浜屋の主も、見ているわけだ」
「商人は見ます」
「岡崎も見ている」
「はい」
「駿河もか」
藤助は、わずかに目を伏せた。
「駿河は、見るより先に動かすことを好みます」
この一言は重かった。
岡崎は見ている。
駿河は動かす。
大浜屋は、その間で荷を動かしている。
そして彦十は、駿河の方を見すぎている。
「よし」
俺は言った。
「彦十を呼べ。名目は、小荷札と薬草相場の商談。宗次、久右衛門、つね、玄斎も入れる」
「玄斎もですか」
藤助が少し嫌そうな顔をした。
「薬の道を見るには要る」
「信用なさっているので?」
「見張っている」
「なるほど」
藤助は納得したように頷いた。
玄斎は信用する者ではない。
だが、薬売りがどこで嘘をつくかを知っている。
つねは薬草そのものを見る。
玄斎は旅の薬売りの抜け道を見る。
右を見る、左を見る。
便利な言葉は、ここでも使える。
翌日、熱田で商談の場が設けられた。
大げさな評定ではない。
宗次の店の奥座敷。
油壺の匂いが微かに残る場所だ。
畳は古いが、掃除は行き届いている。
火のそばではない。
だが、熱田の火に近い場所であることは誰もが知っている。
俺は、最初から座敷の奥へは出なかった。
出れば場が硬くなる。
まずは商人同士に話させる。
宗次、久右衛門、藤助、つね、玄斎。
そこへ、少し遅れて彦十が来た。
彦十は、藤助より少し年上に見えた。
身なりは派手ではない。
だが、帯も草履も良い。
目は細く、口元に薄い笑みがある。
玄斎の笑みと少し似ていた。
ただ、玄斎よりも乾いている。
「遅れまして」
彦十は頭を下げた。
「船の荷が少々もつれました」
来た。
逃げなかった。
利を失いたくなかったのだろう。
藤助が丁寧に言った。
「彦十殿。熱田の小荷札について、若君様のご意向を受け、こちらで筋を整えることになりました」
「聞いております」
彦十は座りながら言った。
「近頃の尾張は、札がお好きなようで」
軽い皮肉だ。
宗次が笑った。
「札なしの小荷に眠り粉が混じりましたのでな。好き嫌いではなく、必要です」
「眠り粉など、薬売りの扱いでございましょう」
彦十は玄斎を見た。
玄斎は薄く笑った。
「薬売りでも、火番を眠らせる量は扱いが違います」
「火番を?」
「おや、ご存じない?」
彦十は表情を変えなかった。
「噂では」
嘘だ。
少なくとも、ただの噂として聞いている顔ではない。
つねが薬草の束を置いた。
「小荷札の前に、薬草の話だよ。止血草が上がっている」
「戦が近ければ、どこでも上がります」
彦十は、あっさり言った。
場が少し静まる。
「戦が近いと?」
久右衛門が問う。
「世の中、いつでも戦は近うございます」
「三河筋で特に上がっていると聞きます」
「三河は境目でございます。傷薬は常に要る」
うまくかわす。
だが、かわし方が慣れすぎている。
宗次が油壺の帳面を出した。
「薬草、小瓶、古布、松脂。大浜屋の名で熱田へ入った小荷のうち、札のないものがいくつか見つかっています」
「大浜屋の名を騙る者もおりましょう」
彦十は藤助を見た。
「藤助殿も、そのあたりはご存じのはず」
藤助の顔は動かなかった。
「だから、名を預かる筋を整えたいのです。大浜屋の名で受ける荷は、大浜屋が責を持つ」
「責、ですか」
彦十は少し笑った。
「商いで責を重くしすぎると、荷は別の湊へ流れます」
「流れて困る荷なら、流せばよい」
宗次が言った。
「熱田の火番を眠らせる粉など、こちらから願い下げです」
「私は、その荷を知りませぬ」
「まだ誰も、あなたの荷とは言っていない」
玄斎がぼそりと言った。
彦十の目が一瞬だけ冷えた。
玄斎も油断ならないが、こういう時は役に立つ。
俺は隣の小部屋で聞いていた。
信勝もいる。
長秀の手代もいる。
信勝は静かに彦十の声を聞き分けていた。
「兄上」
「何だ」
「彦十は、自分が疑われていることを知っています」
「ああ」
「でも、疑いそのものを商いの不自由にすり替えようとしています」
「よく見ている」
「佐橋殿と少し似ていますね。命じていない、知っていない、けれど道は使っている」
「商人版の佐橋か」
「そこまで年寄りではありませんが」
信勝も、時々言うようになった。
少し笑いそうになったが、場は笑うところではない。
座敷では、藤助が彦十へ一枚の札を差し出していた。
「これが、大浜屋の預かり札です」
札には、大浜屋の印と、小荷の種別を書く空白があった。
「大浜屋の名で受ける荷には、これを使います。名を伏せる客の荷でも、大浜屋が名を預かる」
彦十は札を手に取った。
「よくできている」
「弥平という職人の手です」
「偽札を作った者ですな」
彦十が何気なく言った。
場が止まった。
知っている。
弥平が偽札を作ったことを、彦十は知っている。
それは広くは流していない。
少なくとも、普通の三河商人が世間話で知る話ではない。
藤助が静かに言った。
「よくご存じで」
彦十は、わずかに失敗した顔をした。
ほんの一瞬だ。
だが、出た。
「噂でございます」
「どこで」
「商人の耳は広いものです」
「便利な言葉ですね」
藤助の声が少し硬くなった。
ここで、俺は座敷へ出た。
これ以上、商人同士のやり取りだけにしておくと、彦十は逃げ道を作る。
俺が姿を見せると、彦十は素早く頭を下げた。
「若君様」
「弥平の名をどこで聞いた」
「噂にございます」
「誰の」
「そこまでは」
「商人は名を預かるのではなかったか」
彦十は黙った。
俺は座る。
信勝も隣に座った。
彦十の目が少し動く。
俺だけでなく信勝が出てきたことに、何かを読んだのだろう。
「彦十」
「はい」
「お前は、大浜屋の名で小荷を動かしている」
「商いでございます」
「薬草、小瓶、古布、松脂、眠り粉」
「眠り粉は、私の荷ではございません」
「では誰の荷だ」
「存じませぬ」
「知らぬ荷が、大浜屋の手代へ渡る予定だった」
「名を騙られたのでしょう」
「なら、大浜屋の名を守れ」
信勝が静かに言った。
彦十は信勝を見る。
「大浜屋の名を騙られたと言うなら、騙った者を探すのは大浜屋の責です。私も、自分の名を使われました。放っておけば、その名は影の中で勝手に育ちます」
彦十は、表情を整えた。
「信勝様のお苦しみは、聞き及んでおります」
「聞いたなら、分かるはずです。名を守るには、身内の影も見なければなりません」
藤助がわずかに目を伏せた。
彦十は黙った。
信勝の言葉は、商人にも刺さる。
名を商う者ほど、名を失う怖さを知っているからだ。
「彦十」
俺は机に紙を置いた。
熱田の小荷から出た文。
――火番を二人眠らせ、湊の小荷を夜に移せ。
彦十は読んだ。
顔は動かさない。
だが、目が少しだけ早くなった。
知っている文を読む時の目だ。
「見覚えは」
「ございません」
「では、もう一つ」
長秀の手代が別の紙を出す。
玄斎の薬箱から出た文。
――薬代に困る家は、火種になりやすし。値を下げず、仕事を与えよ。
彦十は、今度は少し眉を寄せた。
「悪趣味な文でございますな」
「悪趣味で済むか」
「私は書いておりません」
「誰が書いた」
「存じませぬ」
「本当に?」
信勝が聞いた。
彦十は、少し苛立ったように息を吐いた。
「信勝様。商人は、すべての文の主を知っているわけではございません。荷は渡され、運ばれ、預けられる。途中で何が混じるか、すべてを見ていれば商いは止まります」
「見ていないことを、誇るのですか」
信勝の声は静かだった。
彦十は言葉を詰まらせた。
「見られないことはあります。けれど、見ない方が得だから見ないのなら、それは影の道です」
場が静まった。
藤助が、深く息を吐いた。
「彦十殿」
「何だ」
「大浜屋は、影の道で食う店ではない」
藤助の声が変わった。
同じ手代としてではなく、大浜屋の名を背負う者の声になった。
「岡崎にも、駿河にも、尾張にも商う。だからこそ、名を残す。名のない小荷で火番を眠らせるような真似をされれば、大浜屋の道そのものが焼ける」
「きれいごとを」
彦十の薄笑いが消えた。
「藤助殿。岡崎を見ているだけで商いができると思うか。駿河は大きい。今川の荷は動く。軍が動けば、薬草も小瓶も布も金具もいくらでも売れる。そこへ背を向けるのか」
「背を向けるとは言っていない」
「では、何だ。尾張の若君に札をつけられ、値を見られ、名を預かれと言われて、商人が商人でいられるか」
「影で名を失うよりよい」
「名だけで飯が食えるか」
彦十の本音が出た。
駿河の大きな荷。
軍の動き。
そこから出る利。
彦十は、それを逃したくない。
大浜屋の名を使ってでも、熱田の小荷を使ってでも。
「彦十」
俺は言った。
「お前は今川の者か」
「商人でございます」
「今川の荷を動かしたな」
「商いでございます」
「火番を眠らせる粉もか」
「それは違う」
初めて、強く否定した。
「何が違う」
「火番を眠らせるなど、商いではない。そんなことをすれば、熱田が荒れる。熱田が荒れれば、小荷も止まる。私は、商いを止める真似はしない」
これは本心に聞こえた。
彦十は今川方の大きな利を見ている。
だが、熱田を焼きたいわけではない。
むしろ、熱田が動いてこそ利が出る。
なら、眠り粉の件は、彦十の直接の策ではないのか。
それとも、そう見せているだけか。
「では、誰がやった」
俺が聞くと、彦十は黙った。
「知っているな」
「……駿河筋の使いが、少し急ぎすぎたのでしょう」
「名は」
「言えません」
「大浜屋の名を守る気はないのか」
藤助が低く言った。
彦十は藤助を睨んだ。
「言えば、大浜屋は駿河の荷を失う」
「言わなければ、熱田の道を失う」
宗次が言った。
「油屋として言わせてもらう。熱田の火番を眠らせるような荷を通した商人に、熱田の小荷は任せられない」
彦十は黙った。
天秤だ。
駿河の大きな荷か。
熱田の道か。
彦十は、駿河を見すぎている。
だが、熱田を失えば大浜屋の名は傷つく。
藤助はそこを見ている。
大浜屋の内の割れ目が、目の前に出ていた。
「彦十」
信勝が静かに言った。
「あなたは、何を守る商いをしていますか」
場が、また静まった。
命札の問い。
小荷札の問い。
薬の問い。
それが商人本人へ向いた。
何を守る商いか。
彦十は、すぐには答えなかった。
答えられないのではない。
答えると、自分の腹が出る。
やがて、低く言った。
「大浜屋の利です」
「名ではなく?」
「名だけでは店は立ちません」
「利だけでも、店は残りません」
信勝は返した。
彦十は、少しだけ苦い顔をした。
その時、外から慌ただしい足音がした。
宗次の手代が入ってくる。
「失礼します。湊で、彦十殿の下男が小舟へ荷を移そうとしております」
彦十の顔が変わった。
「誰だ」
「名は、弥七と」
藤助が立ち上がった。
「彦十殿」
「私は命じていない」
彦十は本気で言ったように聞こえた。
だが、その本気がどこまでかは分からない。
「荷は何だ」
俺が聞く。
「小瓶と紙束。それから、赤い札がいくつか」
また赤い札。
熱田の小荷札を避け、川沿いの小舟で移す。
商談の最中に。
つまり、彦十がここにいる間に、別の道を動かしていた。
彦十の策か。
彦十を切り捨てるための駿河筋の策か。
あるいは、両方か。
「行く」
俺は立った。
藤助も、彦十も立つ。
彦十は、初めて余裕を失っていた。
「若君様、私は」
「来い」
「はい」
湊へ向かう。
熱田の空気が変わっていた。
小荷札を始めたばかりの湊で、今度は川沿いの小舟だ。
相手は道を変えている。
早い。
そして、こちらの場を見て動いている。
彦十を商談に呼び出した間に、彦十の名で別の荷を逃がす。
彦十自身の策なら大胆だ。
別の者の策なら、彦十を捨てる気だ。
小舟のそばでは、宗次の手代と湊の者が下男を押さえていた。
名は弥七。
若い。
怯えている。
荷は三つ。
小瓶。
紙束。
赤い札。
赤い札は、熱田の小荷札に似せてあった。
だが、まだ不完全だ。
裏の二本線がない。
大浜屋の預かり札にも似ていない。
急造だ。
「誰の命だ」
俺が問うと、弥七は震えた。
「彦十様の」
彦十が叫んだ。
「嘘を申すな!」
弥七は泣きそうな顔で首を振った。
「彦十様の部屋にいた男から、そう聞きました。彦十様は商談で動けぬから、急ぎ小舟へと」
「男の名は」
「知りませぬ」
知らない。
また、知らない。
彦十の顔が青くなっていた。
「彦十」
俺は見た。
「お前の周りにも、知らない男が出入りしているのか」
彦十は唇を噛んだ。
さっきまで「商人はすべてを見られない」と言っていた男が、今、自分の足元を見られている。
「……います」
「駿河筋か」
「おそらく」
「おそらくで、小荷が動く」
藤助が低く言った。
「それが、大浜屋の影だ」
彦十は言い返せなかった。
荷を開ける。
小瓶は空。
紙束は、まだ白い。
赤い札は未完成。
何かを運ぶための道具だ。
これだけでは火は起きない。
だが、組み合わせれば影になる。
小瓶に粉を入れる。
紙に文を書く。
赤い札で小荷を通す。
夜に動かす。
まさに、影の支度だった。
「彦十」
俺は言った。
「お前をこの場で縄にはかけぬ」
彦十が顔を上げた。
「ですが」
「ただし、大浜屋の熱田筋からは外す」
藤助が深く息を吐いた。
彦十の顔が歪む。
「若君様、それは」
「大浜屋の内のことは、大浜屋で決める。だが、熱田の小荷を大浜屋として扱うなら、藤助の名で通せ。彦十の名では通さぬ」
宗次が頷く。
「油屋としても、それが条件です」
藤助は、彦十を見た。
「彦十殿。大浜屋の名を守るためです」
「藤助……」
「駿河の荷が大きくとも、熱田の道を失えば大浜屋は片足を失う」
彦十は黙った。
「彦十には、しばらく熱田で小荷札の書き出しを見てもらう」
俺が言うと、周囲が少し驚いた。
彦十もだ。
「私に、札を?」
「自分が軽く見た札を、毎日見ろ。名のない荷がどれだけあるか、名を預かるとはどういうことか、手で書け」
「それは屈辱でございます」
「半分は」
俺は言った。
「もう半分は、責の置き場だ」
彦十は、何か言い返そうとして、やめた。
この場で拒めば、縄になる。
それくらいは分かっている。
藤助が静かに頭を下げた。
「大浜屋として、受けます」
「彦十の周りに出入りした駿河筋の男を探せ」
「はい」
「弥七は責めすぎるな。知らない男から命を受けたことは罪だが、まず誰が入ったかを聞く」
弥七は地面に額をつけた。
その姿を見ながら、俺は思った。
大浜屋の中にも、右と左がある。
岡崎を見る藤助。
駿河を見る彦十。
そのさらに奥に、彦十すら使う駿河筋の男。
商人の家もまた、国と同じだ。
割れ目があり、影が入り、名が使われる。
なら、その割れ目も見る。
夜、那古野へ戻る前に、熱田の湊に新しい札場ができた。
彦十はそこで、最初の小荷札を書かされた。
荷の種類。
持ち主。
受け取り手。
何を守る荷か。
筆を持つ彦十の顔は、屈辱に歪んでいた。
だが、手は正確だった。
商人としての腕はある。
だからこそ、危うい。
藤助が横で見ている。
宗次も見ている。
つねと玄斎は薬草の束を見ている。
信勝がぽつりと言った。
「名を預かるとは、筆を重くすることなのですね」
「そうだな」
「彦十殿は、それを軽く見ていた」
「ああ」
「でも、軽く見ていた人に重さを持たせるのは、よい罰かもしれません」
「かなりか」
「かなり」
信勝が少し笑った。
帰蝶の口癖が、とうとう信勝にも完全に移った。
まあ、悪くない。
俺は湊を見た。
夕暮れの熱田に、小荷が並ぶ。
小さな荷。
だが、その中には戦の影も、人の病も、商人の利も、国の割れ目も入る。
大浜屋藤右衛門本人は、まだ出ていない。
だが、その手代たちは、尾張の火の前に引き出された。
次は、藤右衛門本人がどう動くか。
岡崎がどう見るか。
駿河がどう動かすか。
そこへ進む。




