絵が下手なのに生徒全員の絵が展示される地獄
「生徒たちの親睦を深めるために文化祭をやろうと思うんです」
「無理でしょ」
メルディア王国とガルディア王国の国境にある両国共同運営の学校にて。
ちみっこ教頭ことリョウコさんが言うのに即座に否定で返すオネエ。
オネエはオネエなので割と発言は直球勝負です。
「……なんでですか!?」
「この間貴族と平民の生徒の間で溝があるって言ってたばかりじゃない。客入りや売り上げ競って過激化して戦争勃発するだけだと思うわよ」
「うぐぅ!?」
その様子がありありと想像できたのか呻き声をあげるリョウコさん。
普通に競争してくれるなら少年漫画的な展開で仲良くなってくれるかもしれませんが、お互いに妨害し合って仁義なき戦いに突入する未来しか見えません。
この作品なら最終的にめんどくさくなって全てを消し飛ばす爆発オチになる危険性すらあります。
「なんでー仲良くーできないかなー」
「長年積み上げられた価値観いきなり変えるのは無茶よ。そのあたりは発起人の殿下や王様が何とかしてほしいんだけど」
果たしてあの二人はそこまで考えているのか。
多分考えるどころか根っからの立場的に気付いてない可能性が高いので、帰ったら耳に入れておいた方がいいかもしれない。
今更そんなことに気付くオネエも割とうっかりさんです。
「……いっそ責任とって王様と王子様がこの学校の生徒になればいいのでは?」
「殿下はともかく王様は難しいと思うわよ」
年齢的にも仕事の忙しさ的にも。
いや王妃様も巻き込んでうきうき学園生活がと吹き込めばあるいは……?
今日も異世界は平和です。
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一方高天原。
「なんか文化祭が世界的に見て珍しいとか書かれてるんだけど?」
「珍しいですよ」
文化祭と学園祭の違いって何だろうと思い調べてたら思わぬ情報が出てきて首を傾げるアマテラス様と、調べなくても何故か知っているツクヨミ様。
普段どんだけ暇なのでしょうか。
「文化祭もそうですが体育祭も海外ではああいった大規模に多様な競技はしないそうですし、クラブ活動などもあまり活発ではありませんからね。そのせいで日本の創作に出てくる文化祭という行事は実在しないフィクションだと思っている外国人もいるそうですし」
「ええ……。学校で何やってんの海外の学生」
「勉強に決まっているでしょう」
アマテラス様の疑問に学生の本分をつきつけるツクヨミ様。
でも実際あまり活動的ではない生徒からしたら面倒くさい行事でしかない文化祭。
男子ちゃんとやってよーって俺はちゃんとやってるだろオラァン!?
「それだけ日本の学生生活における学校の比重が大きいとも言えますし、学園物の人気が根強いのもそのためではないでしょうか」
「あー元からイベントが目白押しってことだもんね」
しかしそのイベントの代名詞とも言える修学旅行が感染症のせいで縮小傾向な現実。
でも奈良の鹿が煎餅もらえなくて痩せてるというのはデマなので安心してください。
むしろ鹿は人が尻のポケットに入れてたパンフレットを忍びよって食べようとするのは体に悪いのでやめなさい。
「今なら煎餅持っていけば鹿に大人気に?」
「やるなら姉上が想像してる百倍くらいの人気になるのを覚悟して行ってください」
ハッとしたように鹿に囲まれる自分を想像するアマテラス様と、間違いなくもみくちゃになるだろうなあと予想して忠告するツクヨミ様。
今日も高天原は平和です。




